イマドキの“縦長高解像度スマホ”で電子書籍を試す

イマドキの“縦長高解像度スマホ”で電子書籍を試す

さて、最初に結論を書いておくと、電子書籍を読むためのデバイスとしては、どの製品も合格点だ。さすがに見開き表示にこそ向かないが、いずれも解像度は十分すぎるほど高く、致命的なウィークポイントは見られない。またAndroidであるため、ストアアプリ内でのコンテンツ購入や、音量ボタンを使ったページめくりもサポートしている。

その上でここからは、表示性能と操作性の2つにポイントを絞り、各製品の違いをチェックしていきたい。以下とくに断りがない場合、電子書籍アプリにはKindleを用いている。

まず画面表示周りについてだが、どの端末も400ppiを超えていることもあり、テキストコンテンツは細い線が途切れることなく、コミックもディティールが潰れることもなく描写できる。以下の画像からもわかるように、比較に用いている300ppiクラスの5.2型スマートフォン「ZenFone 3 Max」との違いは一目瞭然で、明らかにワンランク上といった印象だ。

テキストの画質比較。サンプルには太宰治著「 グッド・バイ」を用いている。上段左が「P20 lite」(432ppi相当)、上段右が「ZenFone 5」(402ppi相当)、下段左が「U12+」(537ppi)、下段右が比較用の「ZenFone 3 Max」(282ppi)コミックの画質比較。サンプルにはうめ著「大東京トイボックス 1巻」を用いている。上段左が「P20 lite」(432ppi相当)、上段右が「ZenFone 5」(402ppi相当)、下段左が「U12+」(537ppi)、下段右が比較用の「ZenFone 3 Max」(282ppi)

イマドキの“縦長高解像度スマホ”で電子書籍を試す

ただし実際の表示サイズは、3製品ともに同等というわけではなく、「P20 lite」だけが、ほかの2製品よりも本体幅がせまいこともあり、表示されるページサイズはひとまわり小さくなる。そればかりか、5.2型の「ZenFone 3 Max」よりもページサイズが小さいという、逆転現象が発生している。

つまり数値上の画面サイズ=対角線の長さが大きくなったからと言って、表示されるページサイズが必ず大きくなるわけではない、ということだ。これを認識していなければ、せっかく画面サイズが大きいスマートフォンに買い替えたのに、以前よりもコミックのページサイズが小さくなった、大きくなったのは上下の余白だけ、ということが起こりうる。

むしろ現行のスマートフォンについては、端末の横幅を見たほうが、コミックを表示したさいのページサイズの把握に役立つ。前述の「P20 lite」と「ZenFone 3 Max」にしても、前者が71mm、後者が73.7mmなので、この理屈が当てはまる。スマートフォンのベゼル幅は機種ごとに違うのでいかなる場合にも当てはまるわけではないが、参考材料にはなるだろう。

左から「P20 lite」、「ZenFone 5」、「U12+」。左端の「P20 lite」はひとまわり小さいことがわかる同じページを表示し、コマのサイズで比較してみよう。「P20 lite」は51.8mm「ZenFone 5」は55.1mm。「P20 lite」よりも3mm以上大きい「U12+」は55.2mm。こちらも「P20 lite」より3mm以上大きい比較用の5.2型スマートフォン「ZenFone 3 Max」は52.6mmあり、5.84型の「P20 lite」を上回っている左が5.84型の「P20 lite」、右が5.2型の「ZenFone 3 Max」。コミックの場合、ページサイズを決めるのはあくまでも横幅であり、画面サイズ=対角線のサイズはあまり重要ではないことがわかる

といったわけで、コミックを読む場合、画面が縦長であることにそう大きなメリットはないのだが、その一方、使えば使うほどメリットを感じさせられるのが、テキストコンテンツの表示だ。

テキストコンテンツはリフロー型であり、画面のアスペクト比に応じてレイアウトが変化する。つまり縦長スマートフォンでも、上下に余白を作ることなく、画面サイズをフルに活かした全画面表示が可能だ。感覚的には、幅がスリムな文庫本か、ひとまわり小さい新書といったイメージで、バランスも良好だ。

同じ縦長でも7~8型のタブレットとなると、縦に長すぎて一行の文字数が多すぎるため、視線の移動に疲れを感じることがあるが、今回のような6型前後のスマートフォンであれば、そうした問題もない。むしろテキストコンテンツを読むことが多い人には、おすすめできると言っていいだろう。

「ZenFone 5」で、コミックとテキストを表示した場合の比較。コミックはページ上下に大きな余白ができてしまうが、テキストは画面サイズをフルに活かした表示が可能だこちらは7型のFire 7(右)との比較。1行あたりの文字数および行数は2割程度しか違わないが、ベゼル幅の違いもありずいぶんとコンパクトに感じる。テキストを目で追うときも、本製品のほうが快適だちなみに画面が縦長であることは、コンテンツの一覧表示では威力を発揮する。このように16:9比率のスマートフォン(右)と比べると、コンテンツを一段多く表示できることも