「AI+ハードウェア+ソフトウェア」で進化を続ける「Pixel 4」「Pixel 4 XL」

「AI+ハードウェア+ソフトウェア」で進化を続ける「Pixel 4」「Pixel 4 XL」

昨年、Googleは米国や欧州などで販売している自社ブランドのスマートフォン「Pixel」シリーズを日本市場向けに展開し、自ら販売するSIMフリー版に加え、NTTドコモとソフトバンクからも「Pixel 3」「Pixel 3 XL」を発売した。その後、今年5月には普及価格帯の「Pixel 3a」「Pixel 3a XL」も投入し、Google Homeなど、他のGoogle製品の展開とも相まって、ハードウェアについても徐々に日本市場での存在感を増しつつある。

Googleはかつて「Nexus」というブランドネームでスマートフォンを展開していたが、2015年に発売された「Nexus 5X」「Nexus 6P」を最後に、その流れは途絶えていた。Nexusシリーズはいち早く最新のAndroidプラットフォームを利用できることもあり、ユーザーにも支持を集めていたが、これと入れ替わるようにスタートしたのが2016年に初代モデルが発表されたPixelシリーズになる。残念ながら、Pixelの初代モデルと2代目モデルは日本市場への投入が見送られたため、やや間隔が開いてしまったが、2018年から再び日本市場への攻勢を強めている。

Pixelシリーズは従来のNexusシリーズと入れ替わる形でスタートしたが、製品としての位置付けが少し異なる。Nexusシリーズは元々、Androidプラットフォームの「リファレンスモデル」という位置付けで、HTCやサムスン、LGエレクトロニクス、モトローラなどと協業という形で製造されていた。

これに対し、Pixelシリーズは当初、HTCに製造を委託する形で開発されていたが、2017年9月にHTCの開発部門を買収し、現在はGoogle内で企画・開発が進められており、Googleが提供する多彩なサービスを快適に利用するためのスマートフォンとして、進化を続けている。つまり、Googleが提供するアプリやクラウドサービス、AIの技術を活かしたサービスなどもいち早く体験できることを目的としたスマートフォンであるわけだ。

「AI+ハードウェア+ソフトウェア」で進化を続ける「Pixel 4」「Pixel 4 XL」

しかし、最新のAndroidプラットフォームがいち早く利用できるアドバンテージは失われておらず、昨年のPixel 3/3 XL、今年のPixel 3a/3a XLのアップデート状況を見る限り、最新版を利用できるタイミングは当然のことながら、他機種よりも早い。

この約1年間のPixelシリーズの日本市場での反応については、Pixel 3/3 XLの夜景モードが発売後のアップデートで追加されたこともあり、当初はやや出遅れた感もあったが、十分なスペックと機能を搭載しながら、シンプルなデザインを好むユーザーに受け入れられたようだ。筆者の周りでも数人がPixel 3をメインの端末として利用している。

ただ、価格面についてはやや残念な流れになった印象は否めない。当初の価格設定がやや高かったため、発売時の出足が今ひとつ芳しくなかったが、今年6月~7月にかけて、NTTドコモとソフトバンクがPixel 3/3 XLを数万円値下げし、その後、今回の発表を目前に控えた9月には、NTTドコモが一括払いで2万円台まで値下げしてしまった。今年10月からの端末購入補助が制限されることとの兼ね合いもあるが、今年5月普及価格帯のPixel 3a/3a XLがリリースされている状況では、やや販売が荒れてしまった感も残った。

Google「Pixel 4」、約147.1mm(高さ)×68.8mm(幅)×8.2mm(厚さ)、約162g(重量)、Just Black、Clearly White、Oh So Orange(写真)をラインアップGoogle「Pixel 4 XL」、約160.1mm(高さ)×75.7mm(幅)×8.2mm(厚さ)、約193g(重量)、Just Black、Clearly White(写真)、Oh So Orangeをラインアップ

こうした状況を受けた形で、今回、Googleは日本市場向けに「Pixel 4」と「Pixel 4 XL」の2機種を投入することを発表した。昨年からのPixelシリーズ同様、基本的にはディスプレイサイズや解像度、バッテリー容量などの仕様が異なる2機種から構成される。チップセットなどは基本的に共通で、利用できる機能やサービスもほぼ同じ。バッテリー容量の違いによる連続利用時間の差はあるが、基本的にはディスプレイサイズとボディの持ちやすさで選ぶことになる。

また、販路については、Google自ら販売するGoogleストアに加え、ソフトバンクがキャリアモデルとして取り扱う。ソフトバンクはかつてのイー・モバイルがNexusシリーズを数多く販売した実績を受け、Android Oneシリーズをいち早く国内で展開し、前回のPixel 3/3 XLも世界でトップクラスの売り上げを記録したとされており、その販売力を見込んでの採用となったようだ。NTTドコモは残念ながら、2019-2020冬春モデルのラインアップにもなく、auも相変わらず静観する形となっているが、Googleストアで購入して、NTTドコモやau、MVNO各社のSIMカードを挿して、動作させることは可能となっている。

価格は別表にまとめた通りだ。消費税が昨年のPixel 3/3 XL発売時は8%、今回は10%のため、それを換算した内容になっているが、昨年に比べ、5000円程度値下げされている。とは言うものの、最高値のPixel 4 XLの128GB版は12万円を超えており、iPhone 11 Pro/Pro MaxやGalaxy Foldなどを除けば、今秋に発売されるハイスペックモデルの中でも比較的、高い部類に入る。

Pixel 4Pixel 4 XLPixel 3Pixel 3 XL
64GB128GB64GB128GB64GB128GB64GB128GB
8万9800円10万3950円11万6600円12万7800円9万6759円10万8981円12万1204円13万3456円