改めてここで述べる必要はないかもしれないが、HUAWEI P20 Pro HW-01Kのカメラは、暗い場所でもノイズが少なく、シャッターを切るだけでなんとなく美しい写真に仕上がる。少々発色が派手なところは好みが分かれる部分だが、自分以外のユーザーの声を聞いても、おおむね評価は高い。コンデジが不要になったという人もいるほどだ。
筆者は夜景の仕上がりが気に入っており、以前よりもシャッターを切る頻度が上がった気がする。撮りたい気持ちにさせてくれるという意味では、潜在的なニーズを引き出されたともいえる。そんなスマートフォンはなかなかなかったので、その点は高く評価している。結果として、写真の枚数もどんどん増えている。
一方で、P20 Proの売りである「AI」は、もうちょっと何とかしてほしいというのが正直な評価だ。AIはもはやバズワードのように消費されており、最近ではどのメーカーもAIを押すことが多い。カメラは分かりやすく、かつ実装しやすい応用例のためか、シーン判別機能を搭載したというプレゼンは何度も聞いている。P20 Proに内蔵される「Kirin 970」は、機械学習の処理を行う「NPU」が搭載されており、写真のシーン認識を素早く行えるという。
AIがシーンを判別。判別したシーンに合わせたモードに、自動で切り替わる確かにシーンの判別速度は速く、割と確度も高い。この点は便利だ。ただ、判別後の処理が、少々大胆すぎるきらいがある。通常の端末だと、シーンの判別は、色味の調整などに使われる。料理だと分かったら温かみが増すようにしたり、夜景では手ブレを減らすようにしたりといった程度だ。ところが、P20 Proは、AIでモードそのものを変えてしまう。
これはちょっと……と思ったのが、ある発表会でスライドを撮影したとき。登壇者がスライドを背景にしながらしゃべる発表会で、筆者は登壇者の全身とスライドの両方が含まれるような絵を撮ろうとしていた。このシーンをAIが「テキスト」と認識してしまったのだ。問題はそのあと。スライドが写真の主役であることは事実で、認識自体は確かに正しいのだが、モードが「文書スキャン」に変わってしまったのがいただけない。結果として、スライドに合わせて登壇者の下半身がバシっと切られてしまった。
また、人物を検出したときも、ポートレートモードが起動する。ポートレートモードは背景がボケて、人物が浮かび上がるように撮れる。写真としてキレイだなと思える仕上がりだが、観光地など、どこで撮っているのかが重要なときもある。この場合、背景まである程度クッキリ残っていた方がいいが、人物が中心の構図だとポートレートモードになってしまうため、解除のひと手間がかかることになる。
ソフトバンクの決算会見で撮った写真。孫社長がスパッと切れてしまった自動でポートレートモードになった。人物が際立つのはいいが、せっかくの旅行先なので、背景も残しておきたかったモードの解除は、カメラのUIでモード名の横にある「×」を押すだけでいいが、すぐに写真を撮りたいときには、やはり不便。シャッターボタンを押すだけに比べると、ワンタップぶん手数が増えてしまい、それだけシャッターチャンスを逃しやすくなる。以前、本コーナーでAIがちょっとウザいと書いた理由がこれだ。
マスターAIをオフにすると、AIによるシーンの判別がストップするそのため、筆者はカメラの設定で、「マスターAI」をオフにして使うことにした。設定は簡単で、カメラ起動中に歯車のアイコンを押し、「マスターAI」をオフにするだけでいい。これで、モードの自動変更が機能しなくなる。
一方で、料理を撮るときは少し色味を変えてほしかったり、人物も少し発色をナチュラルにしてほしかったりと、AIによるシーン認識があってもいいのではという場面もある。AIの実力をアピールしたいのは分かるが、もう少し控えめに機能するモードがあってもいいのではないかと思った次第だ。強・中・弱と3段階程度に設定でき、モード変更までしたいときは強にするといった形で、ユーザー側がある程度選択できると便利ではないかと感じた。
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