スマホの携帯性とタブレットの機能性をひとつのデバイスに融合させたら…という2画面スマホ「M Z-01K」が発売中なのはご存知でしょうか。普段はスマホとしてつかえるのに、ちょっくら開けば画面が2倍の大きさになってタブレットとして使えるのです。今回は、そんなガジェット愛好家の夢を実現したようなデバイスをレビューしました。
M Z-01K
・これはなに?:折りたためる2画面スマホ
・価格:9万2664円(docomo機種代金)
・好きなところ:スマホとタブレットが2-in-1してるところ
・好きじゃないところ:完成度が足りないところ
まず言いたいのは、こういったユニークなガジェットはそれだけで存在価値があるということです。いま流行りのベゼルレス(狭額縁)ディスプレイも、始めて世に出てきたときはユニークな存在でした。でも、そこに価値を見出した消費者やメーカーが今のベゼルレスディスプレイが当たり前のスマホ業界を形作っているわけで、こういったユニークな存在は未来の片鱗かもしれないのです(Appleも折りたたみiPhoneを作るという噂)。なので今回は、いつもより個人的な価値観を排したレビューとなっています。
M Z-01K(以下M)を一言で表すとすれば、「慣れさえすれば使い勝手が良いデバイス」でしょう。私はいつも画面がひとつしかないスマホを使っていたので、画面がふたつもあるMには操作で手間取ることがありました。そのもっともたる代表は、指紋センサーを兼ねている電源ボタンの位置です。通常であれば(AndroidでもiPhoneでも)右側にあるはずのボタンが、Mは左側にあるのです(Mの右側はヒンジ)。なので、数日間は逆さまでポケットから取り出してしまうプチ・ハプニングの連続でした(ボタンを感じながら取り出すとこうなる)。
でも慣れてくると少し印象が変わります。左側の電源ボタンはMを(正常に)持つときに中指がちょうどくる位置にあるので、画面が自然につけられます。画面の開き方も始めはわたつきましたが、開くときのカチッていう音が心地よいこともあってすぐに手が覚えました。他のM特有の操作も、そのほとんどが慣れてしまえばなんてことはないもの。ただし、2画面の各「モード」間を切り替えるためのジェスチャーは、なんどやってみても慣れませんでした。ここは要改善点だと思います。
2画面のモードは3つあります。そのうちのひとつ(メインの画面をサブ画面がコピーするモード)はほとんど使いませんでしたが、もう2つは私を虜にしました。
ノマド新時代の幕開け、2アプリモード
これはそれぞれの画面に別々のアプリが起動できるモードで、たとえばメインの左画面にChromeを表示させ、右のサブ画面にメモアプリを起動させる、なんていうことができます。私はこれを活用して、左に英語記事を見ながら左に翻訳文を打ち込む、という使い方をしてみました。その際は画面表示のキーボードが使いづらかったので、Bluetoothキーボード(&トラックパッド)を接続。
どうですかこのガジェガジェしい未来感。私、危うく「ノマド神に成ったのか…」とドヤ顔を晒しながらスタバでMacしてる人の隣にドカッと座ってしまうところでした。
だって考えてみてください。ラップトップやタブレットでノマドしようと思ったら、まぁまぁな大きさの鞄が要りますよね。でもこのM+Bluetoothキーボードなら小さなボディバッグやポーチにも収まります。それどころかポケットに入れてしまえばほとんど手ぶらでノマドれます。これはもう、ノマド新時代が到来したと言っても過言ではないと思うのです。
2アプリモード時のアプリの組み合わせ方は無限大です。たとえば、メイン画面にYouTubeなどの動画アプリを開き、サブ画面にTwitterなどのSNSアプリを開けば、動画を見ながらツイート・投稿できます。これは特にライブ配信を見る時に役立つ組み合わせです。ほら、あなたもいろいろな組み合わせを試したくなってきたでしょう?
(一部の)コンテンツ消費がはかどる、大画面タブレットモード
このモードでは、メイン画面とサブ画面がひとつの大きな画面として扱われます。単順に普通の(単画面の)スマホと比べて画面の面積が2倍程あるので、あらゆるコンテンツが見やすくなる…かと思ったんですが、そんなことはありませでした。
Mのタブレットモードの一番の弱点は、ふたつの画面の間に黒い線が入ってしまうところです。Mのベゼルがいくら細いとはいえ、コンテンツのど真ん中に黒い線が走っているのはどうしても気になります。なにせ微動だにしない線がずっとそこにいるのです。さすがに動画を見続ける気になりませんでしたね。
ところが、もともと真ん中で仕切られている電子書籍は、Mで表示しても自然でした。中でもマンガは得に最高で、カラーのマンガは白黒の電子書籍リーダーとは比べ物にならないくらい綺麗に表示してくれます。もちろんカラー液晶を搭載したリーダーもありますが、その多くは折り畳めないので携帯性の面でMに軍配が上がります。
ちなみに横に持つこともできますが、こちらは横文字のコンテンツを拡大表示したい時ぐらいにしか使いませんでした(黒い線が横に、行間に入るので、縦のときより見栄えが良い)。それか、YouTubeアプリで動画をフルスクリーンで見ながらコメントした時ぐらいですね(上画面が動画、下画面がコメント欄になります)。
電子書籍リーダーとしてのM、とても気に入りました。
地味に便利、スタンドモード
Mを半開きにすると、上画像のように自立させることがます。普段折りたたんで持ち運ぶデバイスゆえにスマホリングのようなアクセサリー装着できない(たたんだ時に画面に挟まれる)ので、これはありがたかったです。
また、Mのスピーカーは音が良く、動画などを見るときもわざわざイヤホンを刺す必要がありませんでした(でもイヤホンジャックがあるのはGood)。ただ、「デュアルスピーカー」を謳うデバイスとしてはイヤピースのスピーカー音が小さすぎます。音のほぼ全てを下向きのスピーカーが担っているので、ここを手などで覆ってしまうと音がこもります。
画面はというと、明るくて発色もよいのですが、一番低い輝度が明るすぎて夜は目が痛かったです。それと、メイン画面とサブ画面の色が若干違うのがたまに気になります。大した差ではありませんが、ちょっと傾けたときなどに同じはずの色が違って見えるので、色の正確さ大事な用途には向いていません。
独特な使用感、スマホモード
スマホモードと呼称していますが、ただMを閉じただけです。とはいえ、やはり一般的なスマホとは若干使い勝手が違います。特にカメラはそうで、Mにはカメラがひとつしかなくて、これがアウトカメラとインカメラを兼ねています。アウトカメラとして使う時はサブ画面、インカメラとして使う時はメイン画面を操作するといった感じで、カメラを切り替える代わりに、画面を切り替えるわけです。
正直言って、これは不便でした。いくらセルフィー画像がアウトカメラ並の画質になるとはいえ、カメラの切り替えが素早い方が総合的な満足度が高いです。
でもでも、「クイックボタン」は便利です。これは音量ボタンの下にあるボタンで、畳んである状態なら画面が消えていても、長押しですぐにカメラが起動できます。ちなみにダブルクリックでスクリーンショットが撮れます(音が大きいので注意が必要)。
あと気をつけるべきなのは、Mが少し重めなところ(226g)。たたんだ状態で持つと、表も裏もガラスなので落としたらほぼ確実にアウトです。あと、手で持つ分には皮膚との摩擦で滑りにくいのですが、別の表面に置くと少しの傾きで滑り落ちていきます。どこに置くかは常に気を使いましたね。
その他の感想
基本的にMの動作は軽快です。2アプリモード、タブレットモード、スマホモードのいずれも、相性の良いアプリはスラスラと動いてくれました。ただし、モード間の行き来と画面回転はどのアプリを起動していても少しラグがあったので、これはMのソフトウェアの問題だと思います。試しに他のホームアプリ(Nova Launcher)の動作も確認してみましたが、これはホーム画面が不安定になったので論外でした。
バッテリー容量は"ok"です。おもにスマホモードで使っていて、たまに2画面のモードを使う程度であれば、一日の終わりに大体20%の容量が残ります。しかし2画面モードを多用すると、一日のどこかで充電しなければなりませんでした。スマホとしては十分ですが、せっかくの2画面が活かしきれていないので"good"ではなく"ok”の評価。
最後に、防水じゃないのが残念ですね。可動部分が多いのでしかたがないのでしょうが、やはりこの価格帯だと防水であってほしかったです。micro SDスロットがあるだけに、大きい容量のコンテンツをどこにでも持ち歩いて大画面で楽しめたら、なんて思うのです。
まとめ
・折りたためる2画面スマホはこれだけ
・2画面モードは(ひとつを除いて)それぞれ利点がある
・2画面時の「黒い線」がなくなれば最強かもしれない
Photos: 西谷茂リチャードSource: NTTドコモ(西谷茂リチャード)