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エンガジェット日本版 HUAWEI P40 Pro 海外版レビュー:50倍ズームカメラはもはやコンデジキラーの域

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ファーウェイが3月、グローバル向けに発表した新フラッグシップスマホ「P40 Pro」のレビューをお届けします。ここ数年のハイエンドスマホのほとんどと同様に、P40 Proの目玉機能は「カメラ」です。静止画では最大倍率50倍というズーム機能を持ち、動画撮影も同社いわく"映画級"の超広角カメラを搭載しています。今回は静止画撮影機能を中心に検証しました。

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※本レビューではファーウェイ・ジャパンより借り受けた海外版を試用しています。技適マークなどの記載がないため、総務省の「技適未取得機器を用いた実験等の特例制度」の届出を行い、制度を遵守する形でWi-Fi・Bluetooth機能を使用しています。

■意欲的な50倍ズームカメラ

P40 Proの背面カメラは4眼構成で、カメラの組み合わせによって、ズームやポートレートといったさまざまな機能を実現しています。P40 Proは最近のスマホカメラのトレンドとなっている「ペリスコープレンズ」と呼ばれるレンズ構造を搭載。遠くのモノを大きく写すズーム機能を実現しています。背面カメラは、メインで稼動する広角カメラ(5000万画素)、ペリスコープレンズの望遠カメラ(1200万画素)、超望遠の4000万画素。プラスToFカメラ(距離計測用センサー)でクアッドカメラ構成。色温度を計測するためのセンサーも備えています。

メインカメラの画角は23mm。対してペリスコープレンズは125mm(いずれも35mm判換算)。つまり「光学5倍のステップズーム」となっています。また、10倍(250mm相当)までは画質を落とさないようにする"ハイブリッドズーム"を実現。以降、デジタルズームで50倍(1250mm相当)のズームに対応します。この「250mmまで画質を落とさずズームできる」というのはなかなかに衝撃的で、「スマホでここまで遠くのモノが撮れるのか」と感心してしまうほどです。ファーウェイが謳っているとおり、10倍相当までなら画質劣化はあまり気になりません。

▲超広角(35mm判換算18mm)

▲広角(35mm判換算27mm)

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▲約5倍ズーム(35mm判換算135mm)

▲約44.4倍ズーム(35mm判換算1199mm)また、ファーウェイお得意の「AI」活用のアプローチがふんだんに盛り込まれています。ここでの「AI」とはすなわち画像の中の物体を認識する機械学習アルゴリズムのことで、たとえば被写体を認識してそれに適したフィルターをかけたり、輪郭を認識して擬似的なボカシをつけたりします。また、高倍率のズームでは看板などの文字の輪郭をくっきり表示するためにAIを活用しているようです。数年前からAI活用のアプローチを継続しているだけあって、人工的なボカシも違和感はほとんど感じません。草木を撮ると緑が際だったインスタ受けしそうな写真になりますが、安っぽい感じでもなく、絶妙に受け入れられそうなゾーンを突いてきます。

▲2倍〜5倍ズームでマクロもくっきり写ります

デジタルカメラの写りになれている人からすると、スマホカメラのAI併用のアプローチは奇妙に感じられるかもしれません。ただ、実際に見た風景の記録よりも「記憶に残したい」「シェアしたい」と考える写真は、後者のアプローチでより的確に実現できる可能性があります。P40 Proのカメラは「実際に写る写真」と「記憶に残したいと思う写真」のバランス配分を高いレベルで実現したスマホカメラと言えるでしょう。そうなると、手軽に写真を撮れるコンパクトデジタルカメラの市場にますます食い込んでいく可能性もあります。今回は試せませんでしたが、ファーウェイがこのスマホのオプションとして、「海中撮影用のアダプター」を用意していることからも、カメラとしての魅力を突き詰めていくアプローチを取っていることが伺えます。

※掲載の都合上、作例は縮小処理を施しています。

■ハードウェアの完成度は高いが「スマホ」としては不十分

P40 Proがスマホとしても優れたハードウェアを備えていることは、手にとって見れば分かります。6.58インチのディスプレイは前面のほぼ全領域を覆い、画面の左右のフチにかけては緩やかにカーブしています。上下にも弧を描いており、Android 10由来のジェスチャー操作(画面したから上にスライドしてホームへ戻る)をしたときに、カーブガラスの手触りの良さを感じられます。顔認証に加え、画面内指紋センサーも搭載。超音波式を採用しており、認証にかかる時間は0.5秒ほどと良好です。

チップセットはすでにMate 30 Proでも実績があるKirin 990 5Gを装備し、メモリも8GBと十分に搭載。防水性能も備えています。要するに、ハードウェアとしては不足はありません。しかし、「スマホ」としての実用性を求めようとすると、少なくとも現時点では明らかに不十分と言えるでしょう。ファーウェイは米中貿易戦争のあおりをうけ、昨年来、Google Playストアを含むGoogle 製のサービス・ツール群を搭載できなくなっています。そのため、現在はHUAWEI Mobile Serviceという独自サービス群の拡充を急いでいる状況です。日本でもことし3月にGoogle Play非対応のMate 30 Proを発売しています。レビューで試したP40 Proも国内版Mate 30 Proと同じくGoogle Playは使えない状況。代わりに独自のアプリストアHUAWEI AppGalleryからアプリをインストールすることになりますが、このストアには日本で使われているメジャーなアプリがほとんどラインナップされていません。

▲日本で使われているアプリもストアに並んではいますが......たとえばTwitter、Facebook、Instagram、LINE、Netflixなどはラインナップありません(TikTokはインストールできます)。一方で、Microsoft Officeや、地図アプリのナビタイムなど、AppGalleryで配信されるアプリも増えて来てはいます。また、フリマアプリのメルカリのように、Webショートカットのようなスタイルの「QuickApp」もストアに並ぶようになっています。それでも、「スマホ」としてのフルサービスを求めようとすると、HUAWEI AppGalleryでは未だ物足りないと言わざるを得ません(もっとも、P40 Proは日本での発売予定についてはまだ明らかにされていないため、日本での実用性の最終判断を下すのは時期尚早でしょう)。

結論として、HUAWEI P40 Proはカメラとしては高機能ながら、スマホとしてはいまいちといったところ。しかしながら、そのプライスタグは欧州版で999ユーロ(約12万円)と、挑戦的な価格となっています。ハードウェアとしての出来が良いだけに、今後1〜2年で自前のアプリストアをいかに拡充できるかが、ファーウェイスマホの中国外で受け入れられ続けるかどうかの分水嶺となってくるでしょう。

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