アスキースマホ総研・白書 第75回
2018年02月28日 17時30分更新
文● 中山 智 編集●ASCII編集部
黒船「OPPO」が日本に上陸!中国メーカーが日本で覇権争い!
日本メーカーの撤退が続くスマートフォン市場では、ふたつの中国メーカーが注目を集めている。そのひとつがファーウェイで、スマートフォンのシェア世界3位となっており、日本でもSIMフリー市場では1位の座に君臨している。最近ではauから「HUAWEI nova 2」も登場し、さらに日本でのシェアを盤石のものにしそうだ。
そんな日本市場に乗り込んできたのが、同じ中国メーカーのOPPO。日本ではまだ聞き慣れないブランドだが、実はスマホ世界シェアではファーウェイに続く第4位。特にインドネシアやシンガポールといった東南アジア諸国で高い人気を誇り、アジア地域ではシェア1位とも言われている。
OPPOが東南アジア諸国でシェアを伸ばしてきたのは、その大胆な広告戦略によるところが大きい。街中には屋外広告物を大量に投下。さらに小売店には販促物を提供し、なかばOPPO専門店のようなイメージのショップをプロデュース。さらに現地の有名芸能人をCMに使うなど、認知度アップを積極的に行なってきた。こういった広告戦略を推進していた責任者の鄧宇辰(トウ ・ ウシン)氏が、今回日本に設立されたOPPO JAPANの代表取締役に就任している。OPPOをアジアナンバーワンまでに育て上げた手腕が日本でも期待されているのだ。
一方のファーウェイはモバイルルーターも含めて、かなり古くから日本市場に参入しており、いわゆる「格安スマホブーム」の火付け役ともいえる。コストパフォーマンスと、評価の高いカメラ性能で日本でのSIMフリー市場を牽引してきたメーカーだ。
カメラ機能で抜きんでる両メーカー
両社の端末の特徴と言えば、なんといってもカメラ機能。ファーウェイはハイエンドモデルでカメラメーカーのLeicaと組み、デュアルレンズで高品質な仕上がりがウリ。一方のOPPOも、今回投入した「R11s」はカメラフォンと銘打つほど。ファーウェイにも人物写真をキレイに撮影するビューティーモードは搭載されているが、実はビューティーモードを採用したのはOPPOのほうが先。メインカメラだけでなく、インカメラのセルフィーに力をいれるなど、注力しているポイントは両社とも似ている。
そこで今回は、両社の最新モデル「HUAWEI Mate 10 Pro」と「OPPO R11s」を徹底比較。両社のスマートフォンから、日本での戦いはどちらに軍配が上がるかチェックだ。
HUAWEI Mate 10 ProとOPPO R11sの特徴を比較
「HUAWEI Mate 10 Pro」は、ファーウェイのスマートフォンの中でもハイエンドに位置付けられるモデル。CPUは同社が開発したクアッドコアのKirin 970を採用。このCPUはAI対応CPUとも呼ばれており、専用のNPU (Neural-Network Processing Unit) を搭載。写真の判定などを高速かつ低電力で処理できるのが特徴だ。
カメラは背面がデュアルレンズで、両方とも同じセンサーを搭載しているが、片方はカラー、もう片方はモノクロと役割分担されている。片方をモノクロセンサーにすることで、より明るさの感度が高くなり、明るい場所での白とびや暗い場所でのつぶれなどを抑えて、クッキリとした写真を撮影できる。
ディスプレーは6型の有機ELパネルを採用し、解像度は1080×2160ドット。アスペクト比は最近のハイエンドではスタンダードになりつつある18:9。指紋認証センサーを背面に配置しているため、上下も含めて狭額縁を実現しており、ディスプレーの専有面積が大きいのもポイントだ。
USB Type-Cの端子からHDMIなどで外部ディスプレーに画面を出力すると専用のUIに変わり、PCライクに使えるのもポイント。接続中のMate 10 Proはタッチパッドやキーボードとしても使え、簡単な仕事ならこれで十分だろう。
SIMスロットはデュアル仕様で、いわゆるDSDS(デュアルSIM、デュアルスタンバイ)に対応しているが、microSDカードスロットはなく、写真や動画といったコンテンツも含めてすべて内蔵ストレージに保存する必要がある。そのほかIP67の防水・防塵にも対応するので、水気のある場所やアウトドアでも安心して使用できる。
上下のベゼルも狭く、スッキリとした印象
背面はカメラレンズ2つと指紋認証センサーが縦に並んでいる
4G+4Gでの待受が可能だが、microSDには非対応
外部ディスプレーにつなげて、PCのように扱うこともできる
ファーウェイ「HUAWEI Mate 10 Pro」の主なスペック | |
---|---|
ディスプレー | 6型有機EL |
画面解像度 | 2160×1080ドット |
サイズ | 約74.5×154.2×7.9mm |
重量 | 約178g |
CPU | HUAWEI Kirin 9702.36GHz×4+1.8GHz×4(オクタコア) |
メモリー | 6GB |
ストレージ | 128GB |
OS | Android 8.0(EMUI 8.0) |
対応ネットワーク | LTE:バンド1/2/3/4/5/7/8/9/12/17/19/20/26/28/32/34/38/39/40/41W-CDMA:バンド1/2/4/5/6/8/19 |
DSDS(4G+4G) | ○(DSDV) |
無線LAN | IEEE802.11a/b/g/n/ac(2.4/5GHz対応) |
カメラ画素数 | リア:1200万画素(RGB)+2000万画素(モノクロ)/イン:800万画素 |
バッテリー容量 | 4000mAh |
SIM形状 | nanoSIM×2 |
USB端子 | Type-C |
カラバリ | ミッドナイトブルー、チタニウムグレー |
OPPOが日本参入第1弾として投入したのは、同社の最上位モデル「OPPO R11s」。Mate 10 Proと同じく18:9のアスペクト比で有機ELパネルを採用。ディスプレーサイズも6.01型で解像度は1080×2160ドットと数値的なスペックはほぼ同等。
カメラ機能は背面がデュアルレンズで、こちらも1600万画素と2000万画素のセンサーを搭載しているが、どちらもカラーセンサーとして使用する。1200万画素のほうは通常光で使い、2000万画素のほうは4つの画素をひとつのブロックとして受光感度を高めることで、暗所での撮影に強い。それぞれユーザーが意識して使い分けるのではなく、自動で切り替えてくれるので、シャッターを押すだけで最適な撮影ができる。
ディスプレー下部から上にスワイプするとコントロールセンターが表示されるなど、ユーザーインターフェースは一般的なAndroid端末よりiPhone Xに近い。ホームボタンなどディスプレー下部のナビゲーションキーを非表示にして、iPhone Xのように画面下部からのスワイプ操作をホームボタンに割り当てる設定も可能だ。
指紋認証センサーは本体の背面に配置されている。生体認証はそのほか顔認証機能も装備しており、認証速度は0.08秒と高速。実際に登録して使ってみたが、ディスプレーをこちらに向けた瞬間にロックが解除されており、精度もかなり高い。
SIMスロットはnanoSIM×2だが、片方はmicroSDとの共用となっている。
こちらも18:9のアスペクト比で、6.01型と広画面
カメラレンズは背面左上にあり、横に並んでいる。指紋認証センサーは楕円形
SIMスロットは4Gと3GのDSDSに対応し、片方はmicroSDとの共用
Type-Cではなく、microUSBコネクターを採用。上下のエッジの部分が凹んでおり、指でスピーカーなどを塞ぎにくくしている
「OPPO R11s」の主なスペック | |
---|---|
メーカー | OPPO |
ディスプレー | 約6.01型有機EL |
画面解像度 | 1080×2160ドット |
サイズ | 約75.5×155.1×7.1mm |
重量 | 約153g |
CPU | Snapdragon 6602.2+1.8GHz(オクタコア) |
内蔵メモリー | 4GB |
内蔵ストレージ | 64GB |
外部ストレージ | microSDXC(最大256GB) |
OS | Android 7.1 |
カメラ画素数 | アウト:1600万画素+2000万画素/イン:2000万画素 |
対応バンド | LTE:1/2/3/4/5/7/8/18/19/20/26/28/38/39/40/41W-CDMA:1/2/4/5/6/8/19 |
無線LAN | IEEE802.11ac(2.4/5GHz対応) |
DSDS | ○ |
バッテリー容量 | 3205mAh |
生体認証 | 指紋、顔認証 |
USB端子 | microUSB |
SIM形状 | nanoSIM×2 |
カラバリ | シャンパーニュ、ブラック、レッド |