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Androidスマートフォンの一部フラグシップ機には専用のドッグやUSBケーブルなどを用いて外部ディスプレイなどに接続することで、PCのようなデスクトップ画面を表示してより大きな画面でコンテンツの視聴やちょっとした入力作業などができるようになる機能を有しているものがあります。

例えばSamsung Galaxy(S20やNote20シリーズなどのハイエンド機)であれば「Samsung Dex」、HUAWEIの「Pおよび、Mate」シリーズであれば「PCモード」、LG Electronicsのハイエンドモデルなら「デスクトップモード」と呼ばれているものです。

先日、携帯電話研究家でお馴染みの山根博士(山根康宏氏)が執筆した記事でも触れられていたディスプレイやキーボードをまとめたノートPC型のダム端末に「Omido Phonebook」(Omido DR138)というのがありましたが、今回、この「Omido Phonebook」の実機をとある業者からお借りすることができました。

ということで、本記事ではキーボード搭載のノートPC型ディスプレイ端末「Omido Phonebook」の実機レビューをお送りしたいと思います。

Phonebookは約13.3インチのタッチパネルディスプレイにトラックパッド、QWERTYキーボードをひとまとめにして搭載したノートPC型の外部ディスプレイ端末です。

左側にはスマートフォンなどのモバイル端末を接続する際に利用するUSB Type-C端子とゲーム機などを接続する際に利用するminiHDMI端子があります。

右側面には電源キー、microSDカードスロット、本体充電用 USB Type-C端子、3.5mmイヤフォンジャックがあります。スマホなどのモバイル端末接続時は本機に挿入されたmicroSDカードをファイルマネージャーから参照したり、スマホ側へコピーしたりすることができます。

本体外形は横幅30.7mm×奥行20.9mm×厚み14.4mm(折り畳み時)で、本体重量は実測で1,199g。モバイルするなら、まぁ、許容できるレベルでしょう。

▲今となっては1kg未満のノートPCもありますが……

バックライト搭載のキーボードの主要なキーのキーピッチは、実測で約12mmでストロークもしっかりとしたものになっています。

▲打鍵感のしっかりしたキーで打ち心地は悪くありません

Phonebookの特徴としては単なるノートPC型、というわけではなく、レノボのYOGAタイプPCのように画面をひっくり返して利用することが可能で、ラップトップPC型のように使えるほか、テント型にして自立させてディスプレイのみを使うようにしたり、キーボード部分を反対側に折りたたんで、タブレットPCのように利用することも可能です。

〇実際に使ってみる

▲ラップトップ型でSamsung Dexを表示させた状態、HUAWEI PCモード、LG デスクトップを表示した状態

▲YOGA(テント)型でHUAWEI PCモードを表示させた状態LG デスクトップを表示した状態

▲タブレット型でLG デスクトップを表示した状態

結論から述べますと、Samsung Dex、HUAWEI PCモード、LGデスクトップモードとも問題なく利用できました。特にPhonebookはディスプレイがタッチパネルになっているため、トラックポイントによるPCライクな操作だけでなく、タッチパネルを活かして大画面タブレットのような操作も可能です。

大画面で表示できるとは言っても、Android向けのアプリはタッチ操作を前提としたUIで表示されるものが大半(特にゲームアプリなど)なので、Office系の実用アプリやSNS、長文の文章入力などで使うときはトラックパッドと、タッチパネルを併用し、ゲームアプリなどのエンタメ方向に大画面で楽しみたいときはタブレットのようにタッチパネルのみで利用できます。

▲大画面を活かして、余裕をもってマルチタスクに作業ができるようになる

WebブラウザならPC表示モードに切り替えればWebサイト閲覧もバッチリで、Windowsのようにアプリをウィンドウを自由に動かしたり、ウィンドウの大きさを変更したり、全画面化することも可能です。ただし、Samsung DexではTwitter公式アプリを起動することができませんでしたが。

もちろんゲームアプリを起動して遊ぶことも可能で、タッチパネル操作が可能である強みを活かして、Androidタブレットのようにそのまま遊ぶことだってできます。

リズムアクション系やシューティング系のゲームアプリにおいても、さほど操作遅延などで違和感を感じることなく遊ぶことができました。もちろん画面が大きすぎることによる操作性の大幅な違いはあります。

ただし、縦画面表示には対応していないようで、「ディズニー ツムツム」や「ゴシックは魔法乙女」のような縦画面で遊ぶゲームを起動しても横向きにはならない(全画面の場合、横画面のまま左右に画面を引き延ばされるか左右に大きな黒帯が入る)ので、ゲームによっては、不向きなものもあります。一方で、ウィンドウ表示にしてゲーム画面とブラウザを開いて、攻略情報をチェックしながら遊べるものもあるので、いろいろと試してみるといいでしょう。

▲(遊びやすいかどうかは別として)大画面で遊ぶのは大変楽しい

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一つ注意すべき点としてはDexモードはIMEアプリのAtokとの相性がよくないのか、「キーボードが接続されました」という表示が度々画面内に表示されることがあり、キーボード操作の取りこぼしがみられます。

Dexを利用する場合はSamsung日本語キーボードやGoogle日本語入力、Gboardなどを利用する方が無難かと思います。もちろん、今後のアップデートなどで改善する可能性もありますが。

また、デスクトップ画面を表示してPCライクに操作するという前提で、3社のPCモードで試していますが、Androidのディスプレイオルタネートモード(Alternate Mode)に対応した端末であれば、アプリなどで、トラックパッドやキーボード、タッチパネルが利用可能なものもあります。筆者の確認できた範囲ではAQUOS R5GやBlackShark2以降、ROG Phoneシリーズで動作確認済。

〇HDMI接続

PhonebookにはminiHDMI入力端子があり、ゲーム機やPCなどを接続することで純粋な外部ディスプレイとしても利用可能です。

今はやりの小型の復刻ゲームハード機はもちろん、ニンテンドーSwitchの外部モニターとしての利用も可能です。

▲モバイルバッテリーなどを使えばミニゲーム機ごと持ち歩けちゃう

〇気になった点

実は本機にはHDMI接続時での「音量調節ボタン」がありません。USB接続時などのキーボードが有効時は「Fn」+「F4」および「F5」キーで調節可能です。そのため、接続した機器側で音量の変更ができるもののであればいいのですが、モニター側の音量調節に依存する端末を接続した場合、大きな音のまま音量が変更できない仕様となっています。

回避手段としては、3.5mmジャックに音量調節可能なスピーカー機器を接続することですが、モバイル利用を考えるといささか厳しいものがあります。

もう一つは個装箱に描かれているクレイドルが付属していませんでした。クレイドルがあると、端末を本体横に直置きすることなく立てられるし、利用する際の見映えもよくなるので、ちょっぴり残念でした。

▲付属していなかったのは今回お借りしたものがサンプル品であったからかもしれませんが……

そして、リターン(RETURN)キーの右の列に「PgUp」や「PgDn」(ページスクロールキー)などの機能キーが配置されてしまっていることです。

慣れの問題もあるかもしれませんが、リターンキーと押し間違えてしまうことが何回かあったため、せめてリターンキーのある列の右側に少し隙間を作るか、いっそこれらのキーはなくしてファンクションキーとの組み合わせるようにするなどして欲しかったと思います。

▲個人差はあるかもしれませんが、筆者としてはリターンキーとの押し間違いが頻発していました

〇余談ですが…

既にマイクロソフトによるOSのサポートも終了してしまっていますが、Windows10Mobileスマートフォンでのデスクトップモード「Continuum」も問題なく利用することができました。ただし、タッチパネル操作は未対応です。

▲HP Elite x3でContinuumモードを実行している状態。動作そのものに問題は全くなく、ホームキーがWindowsキーとなります

サポートが終了してしまっている今となってはお勧めしにくいのですが、Phonebookはhp Elite x3専用のオプション、「ノートドック」よりも画面が一回り大きいため有線接続によるContinuum機能を使いたいという人にもいいかもしれません。(今、Windows10Mobileスマホを常用しているユーザーがどれだけいるかは不明ですが)

今回、試したOmoido Phonebookは利用できる端末が一部のハイエンドモデルに限られてしまいますが、スマホの活用性を広げるユニークな周辺機器だと思います。まだまだコンシューマユーザーにはこういったダム端末に馴染みは薄いかもしれませんが、今後、こういった端末が増えていくかもしれません。

惜しいと感じる部分もまだまだありますが、だからこそ、今後の進化や伸びしろに期待をしていきたいですね。

モバイルモニター自体は徐々に日本でも目にする機会が増えてきていますが、ノートPCスタイルで活用できるアイテムはまだまだ多くはありませんし、是非日本でも色々と出てきて欲しいところです。

〇さらに余談ですが…

「omoido Phonebook」の名前ではありませんが、別メーカー名義で全く同じものが日本のAmazonにて既に販売されています。

製品としては同等のものではあるようですが、別ブランドの製品ということなので、自己責任となりますが、3万円を以下の手の出しやすい価格で販売されているので、興味のある人柱上等な方は試してみてもいいかもしれません。

モバイルモニター 13.3インチ(Amazon)