NEC「VersaPro タイプVT」は、10.1型の2in1 PC。最小構成はメモリ4GB、ストレージ64GB/eMMCという仕様からも分かるように、一般的にはエントリークラスとなるが、LTE対応も含め、オプションでいろいろなデバイスや機器が用意され、ビジネスで扱いやすいものに仕上がっている。
そして今回、2017年モデルが発表された。2016年の同モデルは、プロセッサにAtom x7-Z8750を搭載していたのに対し、Celeron N3350へと気持ちパワーアップ。一番大きい変更点はこことなる。
そのほかの細かい違いは、デジタイザペンの収納方式の変更とストラップ対応、およびペンがスーパーキャパシタによって15秒で約50分使用可能に。前面カメラの画素数アップ、オプションのキーボードドックの改良、キーボードドックと拡張クレードルのWake on LAN対応……といった部分に手が加わっている。最小構成の主な仕様は以下の通り。
モデル | NEC「VersaPro タイプVT」 |
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プロセッサ | Celeron N3350(2コア2スレッド、クロック 1.10GHz/2.40GHz、キャッシュ 2MB、TDP/SDP 6W/2W) |
メモリ | 4GB/LPDDR3(オンボード) |
ストレージ | eMMC 64GB |
OS | Windows 10 Pro(64bit) |
グラフィックス | プロセッサ内蔵Intel HD Graphics 500、Micro HDMI |
ディスプレイ | 10.1型IPS式1,920×1,200ドット(光沢あり)/10点タッチ |
ネットワーク | IEEE 802.11ac対応、Bluetooth 4.1 |
インターフェイス | USB 3.0×2、前面200万画素/背面500万画素カメラ、microSDカードスロット、音声入出力 |
センサー | 加速度、地磁気、ジャイロ、GPS(LTE搭載モデルのみ) |
バッテリ駆動時間 | 約11時間 |
そのほか | 充電式のデジタイザペン |
本体サイズ/重量 | 262×179.9×11.9mm(幅×奥行き×高さ)/約647g |
税別価格 | 114,400円(最小構成)より |
プロセッサは、Apollo Lake世代のCeleron N3350。2コア/2スレッドで、クロックは1.1GHzから最大2.4GHz。キャッシュは2MBで、TDP/SDPはそれぞれ6W/2Wとなる。
メモリはオンボードのLPDDR3で4GB、ストレージはeMMCで64GB(今回届いたのは128GB)。OSは64bit版のWindows 10 Proを搭載している。
グラフィクスは、プロセッサ内蔵Intel HD Graphics 500。外部出力用にMicro HDMIを備える。ディスプレイは光沢ありの10.1型IPS式1,920×1,200ドット。10点タッチとデジタイザペンに対応。
ネットワークは、有線LANはなく、無線LANがIEEE 802.11ac対応。Bluetooth 4.1も搭載している。そのほかのインターフェイスは、USB 3.0×2、前面200万画素/背面500万画素Webカメラ、microSDカードスロット、音声入出力。
また、冒頭に書いたように、スーパーキャパシタによって15秒で約50分使用可能なデジタイザペンが付属する。
センサーは、加速度、地磁気、ジャイロ。GPSはLTE搭載モデルのみとなる。
サイズは262×179.9×11.9mm(幅×奥行き×高さ)、重量約647g。バッテリ駆動時間は約11時間。
この構成で、税別価格114,400円で、カスタマイズでeMMC 128GB、指紋センサー、LTE、Office Home & Business 2016なども選択できる。
LTEに関しては、Nano SIMカードスロット(SIMロックフリー)、LTE-CAがバンド1+18/1+19/1+21/3+19、LTEがバンド1(2,000MHz)/3(1,700MHz)/18(800MHz)/19(800MHz)/21(1,500MHz)、3Gがバンド1(2,000MHz)/6(800MHz)/19(800MHz)となっている。
前面。パネル中央上に200万画素カメラ。右上に電源LED。下左右にある細いスリットにスピーカー背面。中央上に背面カメラ。左にオプションの指紋センサー用凹み左/下側面。左側面にロックポートと電源入力。下側面にDockコネクタ。結構厚みがあるのが分かる右/上側面。右側面に電源ボタン、音量±ボタン、音声入出力、USB 3.0×2、microSDカードスロット、Micro HDMI。上側面にデジタイザペン収納場所。重量(本体)。実測で649g付属品など。ACアダプタのサイズは90×40×28mm(同)、重量174g、出力20V/2.25A。デジタイザペンは側面に電極があり、本体に収納すると充電される筐体は、前面から見る限りありがちな10.1型タブレットだ。ただ厚みが11.9mmもあるので、横から見るとそれなりにゴツイ感じがする。
ただ、これはサイトによると“「耐150kgfクラス」の頑強設計&76cm落下テストを実施”とあるので、強度を保つには仕方ない部分だろうか。
前面はフチが少し広めだ。パネル中央上に200万画素カメラ、右上辺りに電源LED、下左右の細いスリットにスピーカー。
背面は中央上に背面カメラ。左にオプションの指紋センサー用凹みがある。
左側面にロックポートと電源入力。右側面に電源ボタン、音量±ボタン、音声入出力、USB 3.0×2、microSDカードスロット、Micro HDMI。下側面にDockコネクタ。上側面にデジタイザペン収納場所を配置。
なお、このデジタイザペン収納場所は、ペンの充電も兼ねている。付属のACアダプタのサイズは90×40×28mm(同)、重量174g、出力20V/2.25A。
ディスプレイは10.1型のIPS。明るさ、コントラスト、発色、視野角全て問題ない。輝度最小でも、暗い室内なら十分見える。10点タッチも良好。また付属のデジタイザペンも、ストレスなく操作できる。
さて、2016年モデルでは単6電池×1だったのに対して、「スーパーキャパシタによって15秒で約50分使用可能」なデジタイザペンのバッテリベンチマークテストをしたいところだが、充電時間の15秒は良いとして、その前に完全に放電する必要がある。
考えた末、若干丈のある小物を本体の脇に置き、そこへ斜めにペンを固定、そのままペン先を画面に置くことにした(本体のディスプレイと電源は常時ONに設定)。
この状態で反応しなくなるまで放電した後(夜セットして、朝起きた時には終わっていた)、15秒収納して充電。映画を観ながら適当にペンで落書きしていたところ、(大雑把であるが)確かに50分以上作動した。
本体収納中は充電されるので、余程のことがない限り、バッテリ切れにはならなそうだ。加えて、2017年モデルではストラップが取付可能になっている。
振動やノイズは皆無。発熱はベンチマークテストなど負荷をかけると熱を持つものの、普通の操作の範囲では主に右半分が暖かくなる程度だった。サウンドは、低音などは出ないが、パワーはビジネスモデルとしては鳴るほうだろうか。
ここまでは本体側。以降はオプションのキーボードドックとクレードルとなる。
キーボードドック。テンキーなしのアイソレーションタイプ。Dockへの固定はコネクタも含む3つの凸と、本体も含めネオジム磁石キーピッチ。実測で約18.5mm(仕様上はキーピッチ: 18.5mm、キーストローク: 1.8mm)。主に手前と右側のピッチが狭くなっている閉じたところ。ソリッドな雰囲気でなかなかカッコいい。ただ少し厚みがある合体時斜め後ろから。パネルの角度はこれが最大。後ろにUSB 3.0×2、HDMI、Ethernet、電源入力、ロックポートキーボードドック合体時の重量。実測で1,291gクレードル。キーボードドックと同じ3つの凸があるクレードル合体時(裏から)。後ろにUSB 3.0×2、HDMI、Ethernet、電源入力、ロックポートと、キーボードドックと全く同じ並びクレードルの重量。実測で412gそのほか。VGA変換アダプタ、USB式マウス。ストラップは別売りで、今回は特別に一緒に送られてきたキーボードドックは、テンキーなしのアイソレーションタイプ。主に手前と右側のピッチ委が狭いものの、約18.5mm確保されている(仕様上はキーピッチ: 18.5mm、キーストローク: 1.8mm)。打鍵感は少し固めでクリック感があるだろうか。
ドッキング用として、中央にコネクタ、左右に凸。加えて、本体側も含めネオジム磁石で固定されている。パネルの傾きは写真が最大となる。後ろにUSB 3.0×2、HDMI、Ethernet、電源入力、ロックポートを配置。有線LANはGigabit Ethernet対応だ。
単独での重量は641g。本体と合わすと約1.3kg。10.1型の2in1としては、キーボードドックが軽いと、後ろに倒れてしまうこともあり、1kgを切らないのは残念だが、このタイプだと一般的な重量となる。
クレードルは、色は違うがキーボードドックのキーボードがない状態と似ている。後ろの各コネクタの並びも同じ。単独での重量は412g。Ethernetはどちらも「Wake on LAN」対応だ。412gなので、一緒に持ち歩くとしても苦になるほどでもない。