iPhoneユーザーにとって完全ワイヤレスイヤホンのファーストチョイスはアップル純正の”AirPodsシリーズ”。AirPods Pro、第2世代のAirPodsとシリーズ全体を併せて日本で最も売れている完全ワイヤレスイヤホンだから、アップルユーザーからの信頼は絶大だ。
一方、スマホのAndroid陣営を見渡すと”Android端末におけるAirPods”の座を目指して、グーグルの”Pixel Budsシリーズ”、サムスンの”Galaxy Budsシリーズ”、ファーウェイの”シリーズ”..….と各社とも純正完全ワイヤレスイヤホンをリリースし、Android陣営、そして自社スマホを中心としたエコシステム構築が進められつつある。
そこで一つの疑問がある。iPhoneユーザーにとって、Android陣営で続々登場しているメーカー純正完全ワイヤレスイヤホンは利用できるのか。或いは、あえてOSの垣根を超えて利用するメリットがあるのだろうか。
代表的なモデルとしてグーグルの「Pixel Buds」(第二世代)、サムスンの「Galaxy Buds Pro」で試してみた。
まず用意したのがグーグルによる「Pixel Buds」(第二世代)。昨年8月にグーグルのスマホ「Pixel 4a」と同時期に日本で導入されたモデルで、Googleストアの販売価格は20,800円。ノイズキャンセル(NC)に対応していないので、グレードとしては第二世代のAirPods相当といった所。耳へのフィットはカナル型のイヤーチップと耳ウィングガッチリ固定するタイプだ。イヤホン本体の連続再生時間は約5時間。
「Pixel Buds」はAndroid接続時にはFastPairという仕組みで簡単にペアリングできるが、もちろんiPhoneは非対応。iPhone接続時は、充電ケースを開けた状態で背面のボタン長押しするとBluetoothのペアリングモードに切り替えられ、手動で接続することができた。
さっそく「Pixel Buds」とiPhoneで音楽リスニングしてみると、まずこの機種は音質がとても優秀。あえてAirPodsシリーズと比較すると、「Pixel Buds」中高域が鮮やかで、躍動感のあるサウンドで楽器一つひとつがハッキリとしているし、楽器の位置関係も立体的。音楽リスナーにとって魅力的なサウンドだ。
イヤホン本体のタッチセンサーを利用した操作も一通り利用できて、タップで曲の再生/停止、イヤホンの前後スワイプで音量を上下する珍しい操作も、ちゃんと動作する。音声アシスタントの呼び出しは機能しないようだ。スマホ側に連携するアプリもないので、音楽リスニング関連はこれでほぼ全機能だ。
では、「Pixel Buds」にアプリがあると何が違うのか。筆者はAndroidスマホも所有しているので実機で試してみると、本体操作をカスタマイズできたり、アダプティブサウンドで周囲の環境に応じて調整する機能をオンにできたり。そして、「Pixel Buds」の一番攻めている機能が、音声ボイスアシスタントのGoogleアシスタントを待機時間ゼロで呼び出せる、音声操作に特化した仕様なのだ。iPhoneと接続すると、そもそもGoogleアシスタントもSiriも呼び出しできない。
音楽リスニングの音質に魅力を感じるならiPhoneユーザーでも普通に使えるが、「Pixel Buds」はただの音質のいいイヤホンになってしまう、といった所だろうか。