インターネットイニシアティブ(IIJ)は4月2日、訪日旅行客向けプリペイドSIMカード「JAPAN TRAVEL SIM for Unlocked phone」を発売しました。その名の通り、SIMロックフリー、またはSIMロックを解除したスマートフォンやタブレットなどでの利用を想定したものです。
従来の「JAPAN TRAVEL SIM」との大きな違いは、加入者管理機能をIIJ自らが担う「フルMVNO」版であるということ(参考記事)。SIMカードもNTTドコモが供給(貸与)するものではなく、IIJオリジナルのものを使っています。
果たして、フルMVNO版JAPAN TRAVEL SIMはどのようなものなのでしょうか?
筆者は、3GB版を購入して使ってみることにしました。この記事では、SIMカードを使えるようにするまでの道のりをまとめます。
JAPAN TRAVEL SIM for Unlocked phoneのパッケージ(3GB版)。ビックカメラグループ(ビックカメラ、コジマ、ソフマップ)販売分はパッケージデザインが一部異なる(参考画像)JAPAN TRAVEL SIM for Unlocked phoneのパッケージには、以下のものが含まれています。
付属品は、従来のJAPAN TRAVEL SIMとほぼ同様です。
パッケージ台紙はびょうぶ風で、お土産として持ち帰ることを意識しています。多かれ少なかれ、訪日旅行客向けプリペイドSIMカードにはこのような“お土産”要素を含んでいることが多いです。
Brastelカードは、国際電話用プリペイドカードです。スマホに専用アプリ(Android版/iOS版)をインストールして、このカードを使ってサインアップすると、050で始まるIP電話番号が付与されます。クレジットカードや現金でプリペイドチャージをしておくと、国内通話や国際通話を安価に利用できるほか、JAPAN TRAVEL SIMの追加データ容量を買うこともできます(※)。
※コンビニエンスストアや家電量販店などで売っている「IIJmioクーポンカード」(デジタル版を含む)でも追加容量を購入(チャージ)できます
【訂正】初稿掲出時に「ゼムクリップ」が付属するように表記していましたが、本来は付属しないことが判明しました。おわびして訂正します(20時5分)
パッケージの中身パッケージ台紙の裏側はびょうぶ風でお土産にもなるこのパッケージが従来版と大きく異なるのはSIMカードです。先述の通り、IIJが自ら発行するオリジナルSIMカードが付属します。日本でも一部で使われ始めている(参考記事その1/その2)「マルチSIMカード」で、使う端末に合わせて「通常」「Micro」「Nano」の3サイズにくりぬけます。
台紙の裏面には、パスコード(暗証番号)が2つ貼り付けられています。パスコードはSIMカードの有効化(アクティベーション)や追加容量チャージなどで必要なので絶対になくさないようにしましょう。
IIJオリジナルのSIMカード。裏面にあるパスコード2つはSIMカードの有効化や追加容量チャージなどで必要なので紛失しないようにしようパッケージの中身を確認したら、SIMカードをセットアップします。端末は、私物の「Galaxy Note8 SC-01K」を利用しました。もちろんSIMロック解除済みです。
セットアップ手順はパッケージ台紙やユーザーマニュアル、SIMカード台紙のパッケージに書かれています。筆者としてはSIMカードパッケージの手順に従うのが一番分かりやすいと思います(一部設定の場面を除く)。大まかに書くと、以下の通りです。
SIMカードを挿入して電源を入れると「ネットワーク接続はありません(No network connection)」と表示されます。SIMカードは正常に認識しているものの、つながるべきネットワークがない状態で、電話番号も「不明」です。
初めてSIMカードを入れると「ネットワーク接続はありません」表示に(写真=左)。電話番号も不明(写真=右)いろいろ不安はありますが、構わずAPN設定を進めます。APN関連の設定は従来のIIJmioと同様。Android端末の場合、今までのIIJmioと同じように設定できます。
Android端末の場合、従来のIIJmioと同じように設定すればOK新たに加わった注意書きにもある通り、iPhoneやiPadで使う場合はJAPAN TRAVEL SIM for Unlocked phoneではAPNの手動設定が必要です。端末設定を開いて「モバイル通信」→「通信のオプション」→「モバイルデータ通信ネットワーク」と進むと、APNを入力できます。
入力欄は「モバイルデータ通信」「LTE設定(オプション)」「MMS」「インターネット共有」の4つに分かれていますが、これらのうちMMSを除く3つに同じ情報を入力すればOKです。筆者が試した限りでは、「モバイルデータ通信」と「インターネット共有」の2つでも問題なく使えるようです。
iPhoneやiPadの場合、APN設定を手動で行う必要がある(画像は「iPhone X」の場合)。この入力欄は「キャリア設定」で非表示にすることもできるため、国内キャリア(NTTドコモ・au・ソフトバンク)のSIMカードを入れている場合は出てこないAPN設定が完了したら端末を再起動します。実はこれがすごく重要。再起動するとSIMカードに電話番号が書き込まれて、通信できるようになるのです。
割り当てられる電話番号は「020」で始まります。これはM2M(機械間通信)を始めとするデータ通信専用端末に割り当てられるものです。NTTドコモとソフトバンク(Y!mobile)の携帯電話からこの番号あてに発信したところ、「この番号への接続は現在お取り扱いしていません」という、今まで聞いたことのないアナウンスが流れました。
将来つながるのかどうかはさておき、音声通話に非対応であることは確認できました。どうしても音声通話したい場合は、先述のBrastelのIP電話を使いましょう。
JAPAN TRAVEL SIM for Unlocked phoneにはデータ通信専用の「020」番号が割り当てられる正常につながると、オペレーター(キャリア)名に「IIJ」と表示されます。ある意味で、感動の瞬間です。
オペレーター名には「IIJ」の文字これでインターネットができる……ようにはなりません。最後にスマホのWebブラウザから専用サイトにアクセスして、利用者登録をする必要があります。
利用者登録をする際は、本人確認のために旅券(パスポート)番号が必須です。あらかじめ手元に旅券を用意しておきましょう。また、データ通信の利用開始予定日も指定する必要があります。筆者は迷わず「今すぐ」にしました。
利用者登録画面。国籍がJapan(日本)の場合は、「一時滞在」か「永住」かを選択する利用開始予定日を「今すぐ」とした場合、利用者登録が完了すると数分以内にインターネット接続できる状態になります。これでネットの世界に飛び立てます。
登録完了画面以上が、使い始めるまでの手続きです。これからいろいろ使ってみて、1週間後をめどに使用感をまとめてみようと思います。お楽しみに!
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