スマホのカメラ競争は終わりの始まり

スマホのカメラ競争は終わりの始まり

スマホのカメラ競争は終わりの始まり

ここ最近のスマホはカメラの性能ばかりが注目されている。

昨シーズンあたりから増えてきた細長いワイド液晶を搭載する機種がどんどん増え、今や2~3万円クラスのモデルでも当たり前に搭載されている。iPhone Xが登場したときにはノッチが残っていることが指摘されたが、今や“ノッチ残”ばかりではないか。

どのメーカーも同じパーツを使うケースが多いのはパソコンと同じ図式で、新しいディスプレイもライバルとの差異化にはならなかった。違いとして積極的に打ち出しているのがカメラの性能というわけだ。

 スマホのカメラ競争は終わりの始まり

2年程前に初登場したデュアルカメラは、もはや低価格モデルでも当たり前のように搭載され、ついにトリプルカメラを搭載したHUAWEI P20 Proまで登場している。

実際に、数台のスマホを購入して写真を撮ってみているが、確かに違いはある。だが、ユーザーを置いてけぼりにした技術の進化であるとは言えないだろうか?

次に写真を3枚並べるのでチェックしてみて欲しい(リサイズはしています)。あなたには違いがわかるだろうか? 確かに絵作りは違うが、どれでも十分に美しいと思うのは僕だけではないだろう。なんと、うち1枚はコンデジで撮ったのだが、スマホのカメラも素晴らしく機能向上しているものだ。確かに、例えば夜景の撮影ならP20 Proが格段に優れているなど、機能を比較すればキリがない。これを求めるユーザーを否定するつもりもまったくなく、写真が好きなら上位モデルを買うのは良いと思う。僕もそんな視点で製品を選ぶ一人だし。

ところが、一般のユーザーに目を向けると別の考え方ができるのではないだろうか。そもそも、スマホはコンデジを駆逐してきた。今や観光地などを見ても、コンデジを使っている人はとても少なく、大多数がスマホでスナップ写真を撮っている。スマホがコンデジを駆逐した当時のカメラ性能は今と比べるとボロボロだった。画素数も画質もイマイチだし、デジタルズームしかできなかったのだ。それでも、スマホがコンデジに勝ったのは気軽さや、SNSにアップロードできる利便性など。カメラではできないことができるうれしさがあったからだ。

結局のところ、多くのコンシューマはさほど高画質を求めてはいないのだ。もちろん、アンケートを採ればカメラ性能がよい方が高く評価されるが、そこに2倍、3倍というコストを掛ける気になる人は数少ない。

おそらく、今後1~2年で2~3万円クラスのモデルのカメラ性能がある程度に達すると、それで十分だという人が大多数を占めるだろう。安価なスマホが高価なモデルを駆逐するという、スマホのコモディティ化が行き着くポイントが訪れるはずだ。メーカーはユーザーのニーズとはかけ離れたところで、カメラ競争をしているわけだ。

今後、折りたたみの大画面モデルなども登場しそうだが、おそらく、一部の好事家の物欲をそそるにすぎないはずだ。

スマホの買い換えを促進させるのは、デキが良くヘビー級のアプリだと確信している。だが、ハードウェアが先行しているだけで、ワイド画面への対応すらさほど進んでいない。パソコンはソフトの進化が止まり、製品の買い換えが遅くなったのと同じ流れだ。スマホの終わりが、いよいよ見えてきたと思ってる。