人の目を越える写真を実現するスマートフォン「HUAWEI P30」

人の目を越える写真を実現するスマートフォン「HUAWEI P30」

Huaweiは3月26日(現地時間)、フランス・パリで発表会を開催し、スマートフォンのフラッグシップモデル「HUAWEI P30」シリーズを発表しました。特にカメラ機能をさらに強化し、「写真のルールを書き換える」(Huawei Consumer Business Group CEO・Richard Yu氏)とアピールします。

P30とP30 Proの2モデルが用意され、いずれも欧州での発売は3月26日から。価格はP30が799ユーロ、P30 Proが999ユーロから、となっています。

Pシリーズは、同社のフラッグシップスマートフォンのMateシリーズと並ぶ最上位モデルです。ドイツのカメラメーカーであるLeicaと共同開発によるカメラ機能には定評があり、今回もカメラ機能を中心とした発表となりました。Yu氏は、「Pシリーズはモバイル写真における究極の進化形」とアピールします。

Leicaとの協業は2016年のHUAWEI P9シリーズからスタートしました。カラーセンサーとモノクロセンサーの2つのカメラによるデュアルカメラからスタートし、2017年のP10ではインカメラでのライカレンズ搭載、2018年のP20ではトリプルカメラを採用し、「AIによる匠の写真」というキャッチコピーでした。

そして今回のP30は、「写真のルールを書き換える」というコピーで紹介されています。Huaweiのモバイル写真に対するビジョンは「人間の視覚を越えた革新的なモバイル写真の実現」だとしています。

それを実現するために、P30 Proには4つのカメラを搭載しました。メインとなるのは有効画素数4000万画素のセンサーに35mm判換算27mm・開放F値F1.6の広角レンズを搭載したカメラです。

超広角カメラとして同16mm・F2.2の2000万画素カメラ、同125mm・F3.4の800万画素カメラという3つのカメラに加え、深度情報を取得するためのカメラを搭載しており、全部で4つのカメラを備えています。

そして、メインカメラには新たな技術として搭載されたのが「世界初」というRYYBセンサーです。昨今のカメラは、通常センサー上にカラーフィルターを配置して、画素に色を適用しています。一般的にはベイヤー配列と呼ばれる、RGGB(赤・緑・緑・青)という形で、G(緑)が2倍多く配置された形になっています。

カラーフィルターのGの部分をY(黄色)に置き換えたのがRYYBセンサーです。もともと、光の三原色であるRGBを使った原色カラーフィルターは色再現性に優れています。人間の視覚感度が高いGを多く配置することで、より高い色再現性を実現するというのがRGGBですが、逆に光の透過率が悪い傾向にありました。

それに対して、色再現性は劣るけれど感度が高い補色フィルターも存在しており、これはCMYG(シアン・マゼンタ・イエロー・グリーン)という配色になっています。これらは光の透過率が高いため、より多くの光量を取り込める仕組みで、その中のY(黄色)でG(緑)を置き換えたのが今回の技術です。

人の目を越える写真を実現するスマートフォン「HUAWEI P30」

最終的には、YをGに変換して色を演算処理で生成する形になるようで、これによって、40%以上の光量を取り込めるようになり、より高感度で高画質を実現できるようになった、としています。

「40年以上前に設定されたセンサーの基本原則を再定義した」とYu氏は強調します。RYYBの開発には3年の月日をかけたということで、満を持しての投入となったようです。

さらに、メインカメラのセンサーサイズは1/1.7インチと大型で、Galaxy S10+やiPhone Xs Maxの1/2.55インチに比べて25%大型化しているとしています。さらに、前モデルのP20 Proに対して、メインカメラのF値をF1.8からF1.6に大口径化し、取り込める光の量を25%向上させました。

こうした取り組みの結果、最高ISO感度は驚異のISO409600を達成。他社がISO6400、P20 Proが102400までしか対応していなかったことに比べて、大幅な高ISO感度対応を図りました。ちなみにP30はISO204800までの対応です。

P20 Proの時にも比較に出たデジタル一眼レフカメラのEOS 5D Mark IVは最高ISO感度がISO102400、高感度性能を高めたα7S IIがISO409600であり、超高感度に対応したフルサイズミラーレスカメラと同等のISO感度を実現しました。

Yu氏は、1luxという低照度でも明るく豊かな色再現ができる点をアピール。手持ち夜景モードでオーロラを撮影したり、長秒時撮影で満天の星空を撮影できたり、高い暗所撮影性能をアピール。

さらに、メインと望遠の2つのカメラには光学式手ブレ補正とAIを活用した手ブレ補正であるAISを搭載しており、スローシャッターで水の流れを表現する「シルキーウォーターショット」を手持ちで撮影できる点を紹介しました。

P30 Proは、16mmの超広角から125mmの望遠までの3つのレンズを搭載し、メインカメラの27mmからの換算で10倍となる270mmまでのハイブリッドズームが可能。さらに、デジタルズームとしては約50倍という1343mmまでのズームが可能。他社と比べて高画質だとYu氏は強調し、その実力は月が撮影できる、と表現していました。

さらに、深度情報を取得するToFカメラを搭載したことで、被写体までの距離を正確に算出し、より自然な背景ボケを作り出せるようになったとしています。デジタル処理だと処理が難しい髪の毛などの細部も正確に認識するそうです。

動画も、同様にメインカメラの高感度性能によって低照度環境でも明るく撮影できるとしています。OISとAISの併用による動画手ブレ補正機能も強力。125mmまでの望遠撮影にも対応しています。

面白い機能としては、メインカメラと望遠カメラで同時に動画を撮影して1画面内に表示する「Dual-View Video」機能を搭載しています。

3年に渡る研究の成果だというRYYBフィルターを採用して、ISO409600という超高感度撮影を可能にしたP30 Pro。人の目を越える写真を実現するスマートフォンとして、独特の世界観を作り上げていると言えそうです。