1月9日から米ラスベガスでCES 2018が開催されましたが、モバイル関連で大きな話題は多くなかった印象です。モバイル業界では2月開催のMobile World Congress 2018が本番なので、そこで大きな発表があるのは間違いないでしょう。
さて、国内ではKDDIが1月9日に春モデルを発表。キッズやシニア・初心者向けが中心で、冬に比べると地味なラインアップですが、中でも注目を集めたのが「HUAWEI nova 2」。auでは初のHuaweiスマートフォンです。
au向け「HUAWEI nova 2」一括3万円(税別)と安価ながら、背面にデュアルカメラや指紋センサーを搭載、4GBメモリ、64GBストレージを内蔵するなど、このクラスのモデルとしては高いスペックです。防水やおサイフには対応しませんが、コスパに優れたスマホが欲しい人にオススメできます。
Huaweiは2014年に日本のオープン市場に参入し、さまざまなSIMロックフリースマホを投入。ASUSやZTEなどの海外メーカーも追随しましたが、2017年は日本のSIMロックフリースマホでシェア1位を誇ります。2016年に発売した「HUAWEI P9」でハイエンド機の評価を高め、同時期に発売した「HUAWEI P9 lite」で販売台数を着実に伸ばしました。2017年はP9 liteの後継機である「HUAWEI P10 lite」がヒットし、GfKの販売ランキングでは、キャリアのAndroidスマホを抑えて総合トップ10に何度も顔を出しました。
2017年にヒットしたSIMロックフリースマホ「HUAWEI P10 lite」KDDIがHuaweiのスマートフォンを採用した理由の1つとして、こうしたオープン市場での実績を評価したのは間違いないでしょう。KDDI 商品・CS統括本部 副統括本部長 兼 商品企画本部長の山田靖久氏によると、数あるHuaweiスマホの中でnova 2を選んだのは「われわれの今のお客さまはミッドレンジ層のボリュームが一番多く、ニーズが高いから」だそう。
意外だったのは、キャリアが扱うスマホでありながら、おサイフケータイや防水には対応しておらず、ハードウェアはグローバル版とほぼ変えていないこと。この点について山田氏は「コストとのバランスを考えた」と答えており、あくまで価格を重視したことが分かります。こうしたKDDIの柔軟な姿勢が、Huaweiスマホの“キャリア進出”を後押ししたともいえます。
ソフトバンクが扱うHuaweiスマホとしては、Y!mobile向けに「HUAWEI nova lite for Y!mobile」を2017年10月に、「LUMIERE」を2015年に発売しました。これらの機種もおサイフや防水は非対応ですが、安価なモデルが多いY!mobileだから採用できたといえます。nova 2と同じ価格帯のAndroid Oneが売れていることから、nova 2がY!mobileから登場してもおかしくないでしょう。ちなみに、ソフトバンクブランドとしては2011年に「Vision 007HW」、2012年に「STREAM 201HW」を発売した実績もあります。
Y!mobile向け「HUAWEI nova lite for Y!mobile」気になるのが最大手のドコモ。2017年6月に吉澤和弘社長に、Huaweiをはじめとする(SIMフリーでシェアの高い)海外メーカーのスマートフォンを採用する可能性があるかを聞いたところ、「私どもの要望に必ずしも応えられていないところがある。おサイフケータイや防水は絶対に必要」と話していました。auのようにグローバルモデルを(ハードは)そのまま採用、とは行かなそうです。
ドコモ向けには、おサイフケータイに対応した「Ascend HW-01E」を2012年に、防水仕様を加えた「Ascend D2 HW-03E」を2013年に投入した経緯がありますが、大きなヒットには至らず、Ascend D2以降はドコモからHuaweiスマホは出ていません。
SIMロックフリー端末を見ると、防水は2017年の「HUAWEI Mate 10 Pro」で対応し、おサイフケータイも、Huaweiのクラウドサービスと連携させた形で対応させる意向を、Huawei デバイス 日本・韓国リージョン プレジデントの呉波(ゴ・ハ)氏は2017年末のインタビューで話していました。おサイフケータイは、キャリア向け端末も同様の仕様になるかは分かりませんが、Ascend/Ascend D2での開発経験やオープン市場での実績を考えれば、ドコモのHuaweiスマホが登場するのも時間の問題といえそうです。
キャリアの採用が増えれば、Huaweiの日本でのシェアは加速度的に増えるでしょうし、キャリアビジネスが中心の他メーカーにとっては、Huaweiの存在はますます脅威となりそうです。
※この記事はメールマガジン「ITmedia デジタルライフスタイル通信」から転載、加筆したものです。購読申込はこちら。
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