Snapdragon搭載のラップトップ「Asus Nova Go」レビュー:スマートフォン譲りの驚きの電池持久力

Snapdragon搭載のラップトップ「Asus Nova Go」レビュー:スマートフォン譲りの驚きの電池持久力

ラップトップの新たな可能性?

昨今、スマートフォンの性能は目覚ましい進化を遂げています。それまでデスクトップやラップトップが必要だったことまで、気がつけばスマートフォンで済んでしまうことも頻繁になってきました。それだけでなく、スマートフォンは電池の持ちが命なので、効率も普通のラップトップより遥かに高いのです。

そこでAsusは、最もメジャーなスマートフォン用プロセッサのQualcomm Snapdragonをラップトップに搭載しました。果たして、スマートフォン用のプロセッサはラップトップとしても活躍できるのでしょうか? 米GizmodoのSam Rutherfordさんががレビューしています。


一見すると、「Asus Nova Go」は普通の2 in 1に見えます。性能は良いけど、そこまでエキサイティングでもない13.3インチのタッチスクリーンや、指紋リーダー付きの広いタッチパッドに、ラップトップをいつでもタブレットに変化させる360度のヒンジなどが主な特徴です。しかし、この600ドル(約6万3000円)のハイブリッドは、内に秘めた燃えるハートがあるのです。…スマートフォン譲りの。

これは何?:Qualcomm Snapdragonを搭載したWindows 10Sのラップトップ

価格:600ドル(約6万3000円)

好きなところ:15時間も持つバッテリー!

好きじゃないところ:動作が遅い

そうなんです。Asus Nova Goには、スマートフォン用プロセッサが搭載されています。しかも、携帯業界で最先端のチップ、Snapdragon 845ですらありません。代わりにNova Goに搭載されているのは、Samsung Galaxy S8でデビューした、2017年のSnapdragon 835です。でも、シリコンの年齢に騙されてはいけません。一般的なIntelやAMD x86チップの代わりに積んだARMベースのプロセッサをWindows 10とペアリングすることで、Asus Nova GOはラップトップの新しい進化の道を示しています。

というのも、電池消費の効率を念頭に置いてデザインされたSnapdragonを組み込んだWindows PCは、「長持ちする電池」という言葉の意味を再定義しようとしているのです。その恩恵は持久力だけではありません。全てのWindows搭載Snapdragonコンピュータは4G LTEに接続可能なので、行く先々でWi-Fiのパスワードを聞いてまわる人にならずに済むのです。さて、それら2つの特徴は実際にどれだけ便利なのでしょうか?

結論から言うと、非常に便利です! ただ、プラットフォームの限界を理解していれば、ですが。予想している人もいると思いますが、携帯と同じプロセッサである以上、リソースを激しく使うWindows OSのパフォーマンスは決して最高とは言えません。

Snapdragon搭載のラップトップ「Asus Nova Go」レビュー:スマートフォン譲りの驚きの電池持久力

実は、ラップトップのテストによく使うベンチマークを複数使ったところ、Nova Goはここ最近見ないような低スコアを出してしまいました。ウェブブラウジングのパフォーマンスを測るWebXPRTでは、ラップトップとしては私たちの知る限り最低スコアの84で、私たちが去年レビューした、550ドルのSamsung Chromebook Pro(Intel m3を搭載)の267には程遠い結果です。

ここまで差が開いていると、こんな製品に意味があるのかと疑いたくなってしまいますが、そもそもSnapdragonで動くWindows PCは、一般的なWindows用プログラムもそこそこ動かせる一方で、本来はMicrosoft Storeで購入できるネイティブのWindows Universal Platform(UWP)アプリで性能を発揮できるようにデザインされているのです。

そこでWebXPRTをEdgeで走らせたところ、スコアが84から163とほぼ倍になりました。それでもIntel Core m3には届きませんが、まだ納得の行くスコアです。それに実世界では、それくらいのスコアの差はあまり問題になりません。勿論、たまに引っかかりを感じたり入力ラグもあったりするでしょうが、多くのミッドレンジや低価格の機種ではよくあることです。ストレスになることもあるでしょうが、買わない理由とまでは行きません。

更に言えば、それらの機種はIntelプロセッサなので、Qualcomm Snapdragonのデバイス程には電池が長持ちしません。私たちの中での一般的な電池耐久テストは、Wi-Fiを通じてYouTubeのビデオを電池が切れるまで再生し続けるというものですが、Nova Goはたったの13時間49分でした。なぜ「たったの」かと言うと、タッチスクリーンの無い、第8世代のCore i7を搭載したXPS 13の出した13時間24分と15分しか違わないからです。ところが、同じテストをEdgeで行なったところ持久力が跳ね上がり、15時間16分を記録しました。これは過去2年間の中でどんなラップトップよりも長い記録です。Qualcommが独自に実験して出した20時間以上ではありませんが、それでも見事な成績です。

しかし、こういったテストは電池を出来る限り速く消費させるようにデザインされているので、大体の場合、実生活での使用ではNova Goの持久力は更に長くなります。週末を使ってテストしましたが、売り切れていない『アベンジャーズ』のチケットをブラウジングで探し回ったり、くだらないミームを見たり、とにかく仕事以外の作業を45分ほどしましたが、それでも充電は1、2パーセントしか消費しませんでした。このラップトップの効率はなかなかのものです。

Nova Go標準装備の4G LTEモデムも見逃せない機能です。お好みのキャリアからSIMカードを入手したらNova Goに挿入し、Windows上でアクセスポイント名を設定したら完了です。脳みそを求めて歩き回るゾンビみたいに、行く先々でWi-Fiを探し回る必要がなくなります。 Nova Goはスリープからの復帰が素早い上にバックグラウンドで常に接続されているので、どこでも即座にブラウジングできるのです。この感覚は、5Gの登場で誰もが期待している「常にネット接続」の夢を一足先に体験しているようです。とはいえ、別にNova Goが初の4G LTEモデム付きラップトップというわけではありません。Microsoftも今年の始めに4G接続可能なSurfaceを発売しています。

Nova Goに話を戻しましょう。気に入ったのは間違いないのですが、個人的に買うかはちょっと分かりません。Nova Goがどうという話ではなく、私個人の問題です。私の場合、どこでも写真や動画を編集するパワーが必要で、Nova Goはどちらも出来るのですが、処理が素早いとは言えません。また、携帯、タブレット、それに車までネットを必要とする今、ラップトップのデータ料まで払わなければいけないとなると、モバイルデータだけで相当な金額を払わないといけなくなるのが怖いのです。それに値段もです。600ドルでついてくるのは4GBのRAMに64GBのストレージというのは高い気がします。もしAsusが、値段を上げずにこれらのスペックを上げてくれれば、途端に魅力的になると思います。

ある意味では、Nova Goは学生に最適なラップトップになり得ると思います。長い電池の持ち時間によって、夜に充電を忘れることが重大な失敗から、殆ど気づきもしないミスになります。それに標準装備のモデムのおかげでインターネットは常に使えるし、ウェブブラウジングやGoogle Docs、Office 365などを使うには十分なCPUパワーがあります。プリインストールされてくる、完全な失敗作のWindows 10Sも大した問題ではありません。通常のWindows 10にいつでも無料でアップグレードできますからね。

Snapdragon上のWindowsは、コンピュータ全体に革命を起こすとまではいかないかも知れませんが、それぞれに異なる利点や欠点のあるプロセッサを選べるというのは素晴らしいことです。それに、QualcommがARMプロセッサでWindowsを動作させるのにどれだけ力を入れているのかを考えれば、これもまだ始まりにすぎないのです。

まとめ

・素晴らしい電池の持ち時間は過去2年でベスト。

・パフォーマンスはそこまで良くないものの、日常的には十分だし、UWPアプリを使えば更に良くなる。

・古いWindows RTシステムとは違い、SnapdragonのWindowsはほぼ全てのWindowsプログラムに対応。

・これのおかげで、他の全てのラップトップでネット常時接続が欲しくなった。

・少し価格が安くなってくれれば、Nova Goは学生にとって最適になりうる。

Photo: Sam RutherfordSam Rutherford - Gizmodo US[原文](scheme_a)