「AIを使うのです...」Googleの声が聞こえる:Pixel 3/3 XLレビュー

「AIを使うのです...」Googleの声が聞こえる:Pixel 3/3 XLレビュー

自分の好みに合うようスマホをカスタムするんじゃなくて、スマホが自分に合わせてくれる感覚。

Googleのフラグシップ・スマートフォン「Pixel 3」が日本に上陸してはや1ヶ月すぎ。発表当日は「メモリ4GBかあ...」なんてウジウジ悩んでいましたが、その翌日にはポチって、いまは毎日のパートナーとして手に収まってます。

届いて1ヶ月ほど経ちますが、自分でも驚いているのは今でもほぼ出荷時まんまの設定で使っていること。過去に手にしたAndroidスマートフォンはすべて、ホームアプリを入れ替え、開発者オプションをいじり、ある程度はカスタマイズして楽しんでいたことを考えると異例です。

でもたぶん、僕はこれからもPixel 3をプレーンのまま使うと思います。

Pixel 3/3 XL

これは何?:Google製のスマートフォン

価格(税込):9万5000円~(Pixel 3)、11万9000円~(Pixel 3 XL)

好きなところ:AIの賢さ、AIアシスタントへのアクセスしやすさ、カメラのTopShot機能

好きじゃないところ:ノッチ(3 XLだけ)、メモリ4GBということがいまでも心のしこりとして残っている

おかしい...? Androidなのにカスタムできない

最初、Pixel 3を手にした僕は深く考えずにホームアプリを愛用の「Nova Launcher」に入れ替えてから、電源キーのダブルクリックやActive Egde(スマホ本体を握り込む操作)の割り振りアプリを変更しようとしました。

が、ダブルクリックはカメラ、Active EgdeはGoogleアシスタントで固定されており、それ以外の機能を割り振れないんです。さらに、ホーム画面もドッグがある位置に検索バーが配置されていて、いままでのスマホのスタンダードとちょっと違う気配を感じました。

不思議に思い、まずはデフォルトのままで使おう、と過ごすこと1週間。すると、Googleの意図がなんとなく想像できるようになったのです。

「AIです...AIを使うのです...」

めちゃ優秀なAIアシスタントにすぐアクセスできる

モダンなスマートフォンのメイン機能のひとつ、AIアシスタント。でも、前のスマホではアシスタントはあまり使っていませんでした。なんか音声認識の精度がいまいちだし、起動にちょっと手間が必要なんですよね。テッキーぞろいのギズモード編集部ですら、他の部員がSiriとかGoogleとかを使うシーンを見ることは珍しい。

でも、Pixel 3にしてからは毎日のようにAIアシスタントを使っています。音声認識がかなり正確で、ある程度の長文でも的確な答えを返してくれる優秀さも理由ですが、なによりアシスタントをキックするまでの動作が早い!

いままでのスマホ:スマホに「OK Google」と呼びかける→アシスタントの起動を確認→話しかける

Pixel 3:スマホを握り込む→本体がブルっと振動→話しかける

「AIを使うのです...」Googleの声が聞こえる:Pixel 3/3 XLレビュー

文章にするとたいした差はないように見えます。でも「OK Google」の呼びかけが認識されたかをスクリーンで確認するのと、スマホを握り込んで振動を手で確認するのとは、待ち時間も確実さも段違い。

この待ち時間のなさ、操作の雑さ(小さなボタンやアイコンを長押ししなくても、ただスマホをギュッとすればいい)は、アシスタントを使うハードルを大幅に下げました。なにか知りたいことが頭に浮かんだら、次の瞬間にはPixel 3を握りしめて疑問を口に出せばよいのです。

Pixel 3のインターフェースは、AIアシスタントを活用するという視点で見ると納得できます。端末を握って口元にかざす動作を「SEKAI NO OWARIのまね?」なんて茶化されたりしましたけど、僕は気にしません。

アプリ起動が早くなるAIのマジック

ホーム画面にも、Googleの「AI使えばいいじゃんイズム」が見て取れます。

ホーム画面の一等地、ディスプレイの一番下。他のスマホならアプリ用のドックがあるべき箇所に検索バーがあります。ドックはその上。最初は違和感あったのですが、慣れるとこの配置がかなりイケていることに気づきました。

この検索バー、検索のほかにアプリのランチャーを兼ねていて、AIのやつが気をきかせて「今使いたいアプリはこれだよね?」とバーの下に5つの候補を出してくれます。この候補がなかなかに正確で、僕はホーム画面にほとんどアプリを置かなくなったどころか、ドロワーすら開かなくなったのです。

いちおうiPhoneユーザー向けに解説しておくと、ドロワーってのはスマホ内のアプリを一覧できる格納庫のこと。いま確認したらドロワー内にアプリが135個ありました。でも、だいたいのシーン(体感で6割くらい)はおすすめで間に合ってます。

おすすめ候補に望むアプリが出ないときは、検索バーにアプリ名を1~2文字打てば候補が絞り込まれ、すぐ目当てのアプリにアクセスできます。指を動かす範囲がディスプレイの下半分でほぼ完結してるんですね。

今まではアプリにすばやくアクセスするために、ホーム画面を何画面も用意して、アプリの用途別にフォルダでまとめて...カスタマイズは楽しかったけど、いま思えば手間がかかるし、あんまり便利でもなかったです。Pixelみたいに2タップ(+数文字タイプする)でアプリを立ち上げられるほうが、ぜったい楽ちんで早い。なんだったら、スマホを握ってGoogleアシスタントに「Slackを起動して」って言ってもいい。

カメラだってAIでいい感じ

カメラも、専用のチップ「Pixel Visual Core」で色調整やHDR処理をAIまかせにできるわけですが、中でも個人的に気に入ったのは、シャッターを押した前後の瞬間からベターなカットをいくつか選んでくれるTopShot機能。

これは「時間のブレ補正」とも呼べるもので、シャッターを切るタイミングの早い/遅いをフォローしてくれる、とてつもなく便利な機能です。いままでのカメラのオート撮影は、露光や手ブレといった「シャッターを切った瞬間のミス」を補正することはできますが、シャッターを切る瞬間は人間まかせ。でもTopShotは「シャッターを切る瞬間」そのものを補正してくれるので、今までの補正とは別方向でいい写真が仕上がるんです(カメラのファンからすると邪道な機能かも?)。

動画の切り出しやバースト撮影でも似たことはできますけど、AIのアシストがないと良いカットを選ぶのに苦労するでしょう。おすすめカットは満足できるものです。雑な操作でベストな結果を引き当ててくれるところにAIパワーを感じます。

AIをちゃんと「使いやすさ」に役立てている

スマホにAI搭載!なんて話が出てきたとき、「そもそもAIって必要なの~?」という疑いがモクモクわいた人はいたはず。でもPixel 3を触れば、「なるほどね」とそのモヤモヤが払拭されていくのを感じられるでしょう。

調べ物をするのにチマチマタイプするとか、アプリを探すとか、シャッターのタイミングを狙いすますとか。そういった毎日のちょっとした労力をAIパワーでカットすることって、とっても快適なんです。僕はPixel 3のAIの使い方がすごく気に入りました。

Googleは今後もアップデートで気の利いたAIの使い方を提案してきます。発表済みのものだけでも、人間の代わりに電話をかける「Duplex」は超楽しみです。んで、Pixel 3でAIの恩恵をいちばん受けられるのは、購入したまんまのプレーンな環境なんです。

僕はAIの恩恵をいち早く体験したい。だから、Pixelはプレーンのままで使い続けるでしょう。

その他のあれこれ

僕がPixelで行ったカスタムは「ユーザー補助」の「アニメーションの削除」だけ。パパッと画面が切り替わるので、さらに快適になりました(個人の感想です)。

Pixel 3 XL:

Googleから借りた3 XLを、私物のPixel 3とあわせて使っていました。映像でも読書でも、コンテンツを見るならこのデカさは快適。アシスタントを使う上でボディサイズは影響しないのでお好みで。

Pixel Stand:

米GizmodoのSam Rutherfordは「マストアイテム」って言ってたけど、ベッドサイドでアシスタントを使えることに有用性を感じなかった。僕にとってはただ高価でパワフルなワイヤレス充電器ってだけです。見た目も好みじゃないし、使えるケース/アクセサリの幅も狭いです。

Pixel 2と同じじゃね?:

はい、Active Egdeも検索バーメインのホーム画面もPixel Visual Coreも、Pixel 2のころからあるものです。この快適さを、海外では1年も早く味わっていたかと思うとちょっとくやしい。とはいえPixel 3は日本向けにFelicaが搭載されているのがすごくうれしい。