『サイバーパンク 2077』をプレイするならハイエンドPCよりクラウドが快適説

『サイバーパンク 2077』をプレイするならハイエンドPCよりクラウドが快適説

最新GPU買えなくても大丈夫!

『サイバーパンク 2077』、レイトレを使うと負荷がすごいです。『Crysis』の再来レベルです。設定をMaxにするとNvidia RTX 3080でもほぼ歯が立たないくらいですが、だからこそなるべくベストなビジュアルでプレイするには、最新のハイエンドGPUが必須です。…ってそれは多分当然なんですが、多くの人にとっては最新GPUを入手するハードルが(いろいろな意味で)高いのも事実です。『Crysis」のときも、マシンをアップグレードするお金がなければそれまで、でした。

でも『Crysis』がローンチした2007年、クラウドゲームなんてはるか彼方のファンタジーでした。それに対し今は回線速度の課題はあるものの、クラウドの選択肢が現実になっています。そしてRTX 2060以前を使ってる人にとって、クラウドこそ『サイバーパンク 2077』をプレイするには最適な場所です。

今あるGPUの限界

今はGPUが単に高いだけじゃなく、在庫がないっていう意味でも手に入りにくい状態です。オークションサイトに出てないかとか、パーツショップにひっそり残ってないかとか(多分ないんですが)、まめにチェックし続けてやっと買えるかどうかです。それでも『サイバーパンク 2077』を最大限楽しむには、フレームレートを爆上げできるNvidiaのGPUが必要です。4Kの最高グラフィックス設定にしたいなら、RTX 3080でDLSSもオンにして、それでもオーバークロックしない限り60FPSは出せません。

AMDとCD Projekt RedはAMD Radeon RX 6000シリーズにレイトレを実装すべく頑張っていますが、実際RX 6000シリーズでレイトレをオンにするとかなり苦しそうです。なのでRX 6800 XTであっても、1,080pではグラフィックス設定はミディアムにするか、DLSSライクな機能のSuper Resolution(最新世代ではまだ使えない)を使う必要があります。現行のAMDのGPUでは、『サイバーパンク 2077』をレイトレありでプレイするのは今年中はまず無理そうです。

その理由は数字が示しています。以下に各GPUのテスト結果を貼っていきますが、テスト環境はCPUがIntel Core i9-10900K、マザーボードはAsus ROG Maximus XII Extreme、DRAMは16GB(8GB x 2)のG.Skill Trident Z Royal DDR4-3600MHz、SSDはSamsung 970 Evo 500 GB M.2 PCIe、PSUはSeasonicの1000W、CPUクーラーはCorsairのH150i Pro RGB 360mmです。比較のために、GPU以外はみんな同じ構成にしています。クラウドのテストは、Asus ROG Rapture GT-AC2900(ルータ)にイーサネット接続して行いました。その際の下り速度は400Mbps出てましたが、実際そこまでの速度は必須ではなく、最低50Mbps出ていればクラウドゲーミングが可能です。

『サイバーパンク 2077』をプレイするならハイエンドPCよりクラウドが快適説

上のグラフでは、DLSSを使わずにレイトレをオンにした結果をすべてのカードについて出していませんが、それはそのためにグラフを作る意味がないくらい結果が低かったからです。DLSSを使わないでレイトレをオンにした場合、フレームレートが平均40FPS下がりました。RTX 3080の場合、1,080p・ウルトラグラフィックスで43fps出せるんですが、RTX 3070は同じ設定で30FPS台に、RTX 3060 Tiは20台になりました。1440pと4Kでは、RTX 3080がそれぞれ37FPSと17FPS、なんとか絞り出しました。RTX 3080であっても、DLSSオフでは厳しいです。

レイトレをオフにしてウルトラグラフィックス・1,080pの場合は、DLSSを使う必要がなくなりますが、RTX 2070 Super以下では、ウルトラ設定かどうかにかかわらずDLSSオンにしないといけません。ミッドレンジまたはお手頃なカードでは、1,080pで60FPS出せることは稀なので、DLSSをオンにするか、グラフィックス設定を下げるかが必要ですが、後者にするとこのゲームの楽しみ方とは逆行します。たとえばGTX 1660 Superで、1,080pで60FPS以上出したいとしたら、グラフィックス設定をミディアムにしなきゃいけません。この設定でレイトレありでミディアム設定だとフレームレートは15FPSになり、それ以上は出せません。DLSSはRTXシリーズでしか使えず、GTX 1660 Superでは使えません。

さらにPCの場合、いろいろバグもあります。そのほとんどはクラッシュが伴い、たとえばゲームのリロードとか、解像度を1,080pから1,440pにしようとしたときに起こります(前世代のコンソールではあまりにひどかったので、CD Projekt Redが返金に応じているほどです)。直近のパッチを当てても、この問題はまだ残っています。

クラウドの方が快適

今は前ほどバグには遭遇しませんが、『サイバーパンク 2077』をプレイするときは、ハイエンドPCよりもStadiaとかGeForce Nowでプレイする方がずっとスムースです。クラウドでプレイしていてもときどきフリーズやクラッシュはあり、タスクマネージャーでプログラムを閉じなきゃいけないことがありましたが、全体的にはPCよりも快適です。

クラウドだとデータ量が気になりますが、それは実際思ったほど問題にはならず、4Kでレイトレオンでプレイしてても大丈夫でした。データ転送量に上限のある人にはうれしいですね。データ転送量は、ゲームの中で起こっていることの中身によって違います。敵とか味方がいっぱい出てきて銃撃戦になればデータ量は多くなり、アパートメントで1人でインベントリを整理してるだけなら少なくなります。デバイスからどれくらいのデータが出入りしていくかってことです。

ルータのトラフィック分析を見たところ、Stadiaで4時間ヘビーなコンバットミッションを4Kでプレイしたときのデータ量は28GB、つまり7GB/1時間でした。もっとライトなミッションでは、同じ時間で同じパフォーマンス設定でも14GBでした。GeForce Nowでも、1,080pのレイトレオンでだいたい同じデータ量でした。

データ量はスマホとかTVとかデバイスによって違うかもしれませんが、少なくともPCに関しては、さほどひどいことにはなりませんでした。あとはもちろんMacでも同様です。仮にデータ転送量上限が1.2TBの場合、『サイバーパンク 2077』を1カ月間毎日4時間プレイしても800GB以下に収まる計算です。ただ自分以外の人も家にいてネットを使っている場合はとくに、日々のデータ利用状況をチェックしておいた方がいいです。

Stadiaのパフォーマンス設定はGeForce Nowほど細かくなく、レイトレにもできないんですが、Proサブスクリプションなら解像度を最大4Kにできます。GeForce Nowは最高解像度が1,080pですが、レイトレとDLSSが使えるし、ファウンダーズサブスクリプションは月5ドル(訳注:日本では月1,800円)で、4Kだけのために月10ドル(約1,050円、ただし日本未上陸)かかるStadiaの半額です。これからPCをアップグレードするつもりなら、すでにライブラリに持っているSteamやEpic、GOGといったプラットフォームのゲームもプレイできるという意味でも、GeForce Nowを使っておく方が賢そうです。

ファウンダーズサブスクリプションにすると、Nvidiaでゲーム環境が使えるまでの待ち時間が短くなります(これは早い者勝ちです)。が、Stadiaには順番待ちがありません。ゲームがロードするまでに、サーバの混み具合次第でちょっと時間がかかるかもしれませんが、いったんサーバに入ってしまえば大丈夫です。通信速度によってグラフィックスがちょっとボケたりするかもしれませんが、ベストな設定でつねに60FPSは出ます。上の画像でわかるように、レイトレの使えるGeForce Nowは、Stadiaで4Kのときよりもグラフィックスがきれいです。

Steamの直近のハードウェア調査によると、GTX 1660 Super以前のグラフィックカードを使っている人は37.3%だそうです。その37.3%に入ってる人は、PCのスペックに依存しないという意味で、『サイバーパンク 2077』はクラウドでプレイする方がずっと良いはずです。