新たな潮流を代表するATX対応PCケース対決その2 ~In Win/NZXT編~

新たな潮流を代表するATX対応PCケース対決その2 ~In Win/NZXT編~

この対決の見どころ いずれも小型だがバツグンの拡張性に注目

■バランス型の最前線 Corsair Carbide Quiet 400Q Compact Mid-Tower Case

■デザイン重視型も進化 In Win 805 IW-CF05B

■作業性の高さは特筆もの NZXT S340 Razer-SPECIAL EDITION

ATX対応PCケースは、ケース自体の高機能化や組み込むパーツの大型化に伴い、サイズがどんどん大きくなってきた。ミドルタワーケースなら幅は20~22cm、奥行きや高さも50cm以上が一般的だが、一昔前ならサーバーケース並みのサイズだ。

この流れを受けての最新トレンドが、大型パーツを組み込める拡張性はそのままに、比較的小型で扱いやすくしたもの。今回紹介するこのタイプの3製品では、5インチベイを省略することで、最近のATX対応PCケースとしてはかなり短い奥行きを実現しており、置き場所を選ばない。

また、5インチベイをなくすことで前面付近のレイアウトの自由度が高まり、筐体は小型化しながら、大型ファンや水冷ラジエータなどを組み込みやすくなっていることも特徴の一つだ。

■In Win Development805 IW-CF05B実売価格:19,000円前後

Specification●規格:ATX●タイプ:静音性重視●裏面配線:対応●カラー:ブラック●付属電源:なし●ベイ:3.5/2.5インチシャドー×2、2.5インチシャドー×2●対応するCPUクーラーの高さ:最大156mm●標準搭載ファン:12cm角×1(背面)●追加搭載可能ファン:14/12cm角×2(前面)、12cm角×2(底面)●本体サイズ(W×D×H):205×455×476mm●重量:6.85kg

内部は広く組みやすいただしケーブル整理にも配慮

側板にアクリルパネルを組み込むPCケースは、もうめずらしくない。しかしこの805は、両側板や前面パネルに強化ガラスを採用し、スケスケで内部がよく見えるというより大胆な構造だ。

標準では発光する箇所はないのだが、最近増えてきたさまざまな色に変更できるLEDを組み込んだファンやビデオカード、LEDライトなどを組み込めば、内部からほんのり光が漏れ出してくる美しいPCが作れる。

PCケース内部の構造物は、前面近くに装備する3.5/2.5インチシャドーベイくらいだ。そのため内部はかなり広く、作業性にも優れる。底面には2基の12cm角ファンや水冷用のラジエータが組み込め、余った電源ケーブルなどをまとめるスペースも広い。

ただし両側板が強化ガラスで、ケーブルを隠すためのカバーもないので、配線の状況も外から丸見えだ。ケーブルの数は最小限に抑え、まとめ方も工夫するなど、ケーブルマネジメントのセンスも問われる。

天板と側板は強化ガラス、天板はアルミと、密閉度の高い構造。吸気口は底面にあいているファンマウンタのみであり、冷却性能の強化は難しい。実際の検証結果を見ても、ほかのPCケースと比べるとCPU温度やGPU温度はやや高めだった。ただし静音性は非常に高いので、静音PC向きだ。 (竹内亮介)

LEDを組み込めば美しい電飾PCに両側板と前面パネルが強化ガラス製になっており、内部がよく見える。LED付きのファンやライトを組み込めば、スモークがかかったガラス越しにその光が放射される奥行きはR5より6.6cm短いUSBポートは合計4基搭載805の高さは、Define R5と比べると2.5cm高くなっている。奥行きは6.6cm短い。搭載できるマザーボードはATX対応モデルまでUSB 3.0ポートを2基、USB 2.0ポートを2基で合計4基のUSBポートを装備している。ヘッドホンとマイク端子もある組み込んだときの注意点をチェックファンマウンタごと外せるマザーボード裏にSSDを搭載可能防塵フィルタは底面に装備前面に装備するファンマウンタ部分は、独立した構造になっている。追加のファンや水冷ラジエータを組み込みやすいマザーボードベースの裏側に、2.5インチSSDを固定できるマウンタを2基用意する。また配置する場所を4カ所から選ぶことができる吸気口となる前面寄りの底面に、マグネット式の防塵フィルタを装備する。前面の下部から引き出せるわけではないので、取り出すときは一旦PCケースを傾ける必要がある

密閉性の高い構造なので高負荷時の動作音も小さい

新たな潮流を代表するATX対応PCケース対決その2 ~In Win/NZXT編~

標準では背面に12cm角ファンを1基搭載するだけなので、これをファンコントロールすると非常に静かだ。また高負荷時でも、ほかのPCケースと比べると音漏れは圧倒的に少ないことに驚いた。ただし、当然だが冷却性能は低い。CPU温度はかなり高く、エアフローが十分ではないことを感じさせる。

前面からベイにアクセスする必要がなければ、ガラスで覆ってしまっても支障はない。5インチベイを排除することは、PCケースのデザインの変革にもつながるというよい例だ。内部のパーツにもこだわって美しいマシンに仕立てたい。

■NZXTS340 Razer-SPECIAL EDITION実売価格:18,000円前後

Specification●規格:ATX●タイプ:静音性重視●裏面配線:対応●カラー:ブラック●付属電源:なし●ベイ:3.5インチシャドー×3、2.5インチシャドー×3●対応するCPUクーラーの高さ:最大161mm●標準搭載ファン:12cm角×1(背面)、12cm角×1(天板)●追加搭載可能ファン:14/12cm角×2(前面)、14cm角×1(天板、12cm角×1と排他)●本体サイズ(W× D×H):200×432×470mm●重量:7.29kg

三頭蛇と緑のLEDがアクセント 組み込みやすさに注目

有力ゲームデバイスメーカーRazerとコラボレーションし、同社のコーポレートカラーである緑と、そのエンブレムである三頭蛇を各所に配置したPCケースだ。ベースになっているのは「S340」である。

今回紹介しているほかのATX対応PCケースと同様、5インチベイを省略することで内部のスペースを広く取っており、ビデオカードは36.4cmまで、ラジエータは前面に28cmクラスまで対応する。マザーボード下のスペースはカバーで隠されている。これはケーブルの余った部分を、左側板の大きなアクリルパネル越しに見えなくするための工夫だ。ハデなパーツのデザインや、LEDの光だけを楽しめるようにするための配慮と言える。

組み込みの難易度は低い。前述したとおり5インチベイがないので、内部スペースはかなり広く取られており、各パーツは余裕を持って組み込める。またマザーボードベースの一部が、PCケースの内側に向けてくぼんだ状態になっており、ここに太い電源ケーブルなどをまとめられる。くぼみの両脇には太いスリットがあり、ここから各種ケーブルを表面に引き出せる。

金属部分は手触りのよい加工で、アクリルパネルも透明タイプではなく、スモークがかかっている。全体的に高級感があり、所有欲を満たされる1台だ。(竹内亮介)

底面とエンブレムが緑色のLEDライトで輝く前面のエンブレムと底面には、緑色のLEDライトが組み込まれている。底面からの強い光が床に反射し、周囲に広がっていくさまが美しい。背面の天板近くに、このLEDライトをON/OFFするためのスイッチを装備する奥行きはR5より8.9cm短いUSB 3.0ポートを2基装備Define R5と比べると、高さはS340 Razer-SPECIAL EDITIONのほうが1.9cm高いが、奥行きは8.9cm短い天板手前にUSB 3.0ポートとマイク、ヘッドホン端子を装備する。USB 3.0ポートの内部もRazerカラーの緑色だ組み込んだときの注意点をチェック防塵フィルタの清掃はラク前面から3.5インチHDDを固定表面はサラサラとした手触り前面パネルを外すと、防塵フィルタと前面のファンマウンタにアクセスできる。防塵フィルタは磁石で付いているだけなので、簡単に外して清掃できる前面のファンマウンタの下にある3.5インチシャドーベイにHDDを組み込む場合、前面パネルや防塵フィルタを外してからネジ止めを行なう必要がある筐体の表面は、特殊な塗装と表面仕上げが施されている。触ってみるとサラサラとしており、手触りがよい

天板に搭載するファンがCPU温度に好影響

天板のファンがCPUクーラーに近いため、CPU温度はほかのPCケースに比べると低かった。ただ、天板のファンには遮蔽物がないため、動作音が漏れやすい。実際の検証結果を見ても、ケースファンをフル回転させたときは、テストした3製品でもっとも動作音が大きかった。

大型のクーラーを備えたOC仕様のビデオカードもラクラク組み込むことができる。Razerコラボモデルでもあり、ゲーミングPCに最適。

805とは違ってLEDを内蔵しており、自らは光らないパーツと組み合わせてもよい。

CPU:Intel Core i5-6600K(3.5GHz)マザーボード:ASUSTeK Z170-A(Intel Z170)メモリ:Micron Crucial CT8G4DFD8213(PC4-17000 DDR4 SDRAM 4GB×2)ビデオカード:MSI GeForce GTX 970 GAMING 4G(NVIDIA GeForce GTX 970)SSD:Micron Crucial MX200 SSD CT500MX200SSD1(Serial ATA 3.0、MLC、500GB)電源:Corsair RM550x(550W、ATX、80PLUS Gold)CPUクーラー:サイズ グランド鎌クロス3(トップフロー、14cm径ファン)OS:Windows 10 Pro 64bit版室温:21.1℃アイドル時:OS起動10分後の値高負荷時:OCCT 4.4.2 POWER SUPPLYテストを10分間動作させたときの最大値各部の温度:使用したソフトはHWMonitor 1.28で、CPUはCPU TemperaturesのPackage、GPUはGPU Temperaturesの値、ケースファンは「Fan Xpert 3」に接続してフル回転、および「標準」

In Win Development:050-3786-9590(CFD販売)/http://www.inwin-style.com/jp/NZXT:Webサイトのフォームから(タイムリー:http://www.timely.ne.jp/)/http://www.nzxt.com/


[Text by 竹内亮介]


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