Lenovo、Microsoft、Dell、VAIOに聞く「ライバル製品、どう思います?」:ガジェットメーカーさんいらっしゃい!

Lenovo、Microsoft、Dell、VAIOに聞く「ライバル製品、どう思います?」:ガジェットメーカーさんいらっしゃい!

もう「ノートPCはどれも一緒だ」なんて思えないですね。

すっかりギズモードの名物企画になりつつある「ガジェットメーカーさんいらっしゃい!」。自社製品のアピールに加え、他社製品の気になるところをお互いツッコミまくるという、開催するほうもドキドキする企画です。でも殺伐とした感じにならないのがいいところ。

これまでカメラメーカー、そして完全ワイヤレスイヤホンのメーカーさんにお集まりいただき、和気藹々とお話ししていただきましたが、第3回は「ノートPC」のメーカーさんにお声がけさせていただきました。

普段、ビジネスにプライベートにと大活躍のノートPCですが、正直「どれを使っても同じじゃないの?」なんて感じている方もいらっしゃると思います。でも、実はそんなことはありません。各メーカーさんは、それぞれこだわりを持ってノートPCの開発を行なっているのです。

そんなこだわりを思う存分語っていただきましょう!

Lenovo、Microsoft、Dell、VAIOのみなさまに集まっていただきました

今回参加いただいたメーカーさんは、以下の4社です。

Lenovo(レノボ)

グローバルで高いシェアを誇るPCメーカー。1990年代初頭から一環したデザインを保つThinkPadシリーズや、薄型軽量2-in-1ノートPC Yogaシリーズなど、強力なブランドを複数保有している。

Microsoft(マイクロソフト)

OS「Windows」の開発・販売を行なうソフトウェアメーカーであるとともに、PCやゲーム機にも注力してきたハードウェアメーカーでもある。 ノートとタブレットの両方を兼ね備える2-in -1カテゴリの先駆けSurface Proをはじめとする、Surfaceシリーズで有名。

Dell(デル)

米国に本社を置くグローバルなPCメーカー。個人用・法人向け・ゲーミングと幅広いラインナップを取りそろえ、狭額縁をいち早く取り入れたノートPC XPSシリーズやハイエンドゲーミングブランド ALIENWAREなどが有名。

VAIO(バイオ)

日本のパーソナルコンピュータメーカー。VAIOシリーズは当初より個性的なデザイン・機能性を備えたモバイルノートPCで、スタイリッシュな軽量ノートPCというジャンルにおいて存在感を放ち続けている。

今回もこれまでと同じように「オススメの製品をお持ちしていただき、編集長にアピールをしてください」というお願いしかしておりません。いったい、何をお持ちいただけるのか。そして、どんなプレゼンが待っているのか。ワクワクしてきますね。

今回も発表順は公平を期すために太古から伝わる「じゃんけん」で決定。その結果、トップバッターはLenovoの元嶋さん、そしてMicrosoft 水田さん、Dell 合田さん、VAIO 黒崎さんという順番になりました。

では、ヒアウイーゴー!

Lenovo「ThinkPad X1シリーズ」:質感とサイズと生産性のバランスを追求

まずはLenovo 元嶋さんにトップバッターとなってもらい、プレゼンスタートです。

元嶋さん(Lenovo):今日はThinkPad X1シリーズをお持ちしました。「ThinkPad X1 Carbon」と「ThinkPad X1 Yoga」です。どちらも14型ですが、ThinkPad X1 Yogaは素材がアルミニウムでタブレットとしても使える2-in-1ノートPCです。

元嶋さん(Lenovo):最近はオフィス以外の場所で働く人が増え、プライベートでもノートPCを持ち歩く人が増えていると思います。これまでは13インチクラスのノートPCがモバイル用としては主流でしたが、これからは少し大きめの14インチクラスを激推ししていきたいと思っています。ただ14インチだと持ち運びがストレスになる可能性もあるので、特にThinkPad X1 Carbonは薄さに関して15mm切りを実現しています。

ギズ:激推ししたいとのことですが、最近は14インチのノートPCが流行しているのでしょうか?

元嶋さん(Lenovo):実際に盛り上がってきているのはここ2年ぐらいかもしれないですね。Lenovoでは2つのウィンドウを無理なく1画面で表示できる14インチがモバイル用途だとスイートスポットと思っています。

元嶋さん(Lenovo):いちばんこだわっているのはキーボードですね。キーピッチは19mmを確保しています。パソコンは何かを作るためのツールなので、その基本となるキーボードには妥協していません。入力したときにちゃんと打鍵感があったり、跳ね返りがふわっとしていたり、軽すぎないといった点にも気を配っています。スペックシートで見ると「日本語キーボード」と書いて終わりなんですが、その裏側にあるところがThinkPadをThinkPadたらしめている一番のポイントかもしれません。

ギズ:ThinkPadといえば、やはりキーボードにある赤いトラックポイントが気になります。

元嶋さん(Lenovo):トラックポイントがあると、キーで文字入力中にもマウスカーソルを動かしたりスクロールができます。そういう小さな積み重ねで作業効率も変わってくるという観点から付けています。使ってみると離れられないものの代名詞かなと。

ギズ:みなさんは、ThinkPad X1シリーズを触ってみてどうお感じになりましたか?

合田さん(Dell):ThinkPad X1 Carbonは所有感が満たされるなと。全体にカーボンを使っているというのはいいですよね。カーボン独特の質感が感じられつつもちょうどいい軽さで。

水田さん(Microsoft):僕はやっぱり、トラックポイントですね。元嶋さんがおっしゃっていた通り、1回使うと離れられないという感覚が確かにあります。自宅のデスクトップ用にThinkPadキーボードを買っちゃったくらいです。

先ほど14インチの流行についてのお話がありましたが、アメリカのビジネスシーンでは昔から14インチのノートPCが主流で、それはアメリカが車社会だからです。車移動なら14インチで多少重くても問題ありません。一方、電車移動がメインの日本では、14インチの持ち運びには抵抗があったのではないかと。でも14インチも軽くなり持ち運びもしやすくなりましたので、あとは個人の好みで大きな画面をとるか、それともより一層の軽さをとるか、で選べる時代になったと思います。

これさえあれば、何もいらない。それがMicrosoft「Surfaceシリーズ」

ギズ:それでは、2番手はMicrosoftさん、お願いします。

水田さん(Microsoft):「Surface Pro 6」をお持ちしました。Surface Pro 5まではプラチナという色のみでしたが、昨年10月から黒もラインナップとして追加しました。

ギズ:「黒いSurfaceが出た」と話題になりましたよね。

水田さん(Microsoft):なぜこのSurface Pro 6を持ってきたかというと、私がふだん使っているからなんです。これが快適で。

仕事に集中するときは、外付けモニタを利用したデュアルスクリーン・フルサイズのキーボード・マウスが使いたいんです。そこでSurface Pro 6のキックスタンドを開いて自立させ、卓上の外付けモニタの手前に置いています。Surface Dockを挿せばモニタと接続でき、キーボードやマウスはBluetoothで自動接続されます。すぐに仕事環境が整うんです。

会議の時間がきたらSurface Pro 6とタイプカバーとペンを本体にくっつけて持っていきます。モビリティー環境ではSurfaceのタイプカバーがキーボードとして非常に使いやすいです。また会議中にとったメモは、Teamsというソフトでみんなと共有します。ホワイトボードがなくても議論しやすいですよ。アイデアも書けるので、商品企画のスケッチなどを書くときにもよく活用しています。口で説明するよりも絵を描いて説明したほうが伝わりますしね。

私は、仕事を効率的に行なうポイントは、ディスプレイのサイズと入力デバイス、そしてパフォーマンスだと思っています。その意味でスマホやタブレットで仕事のメールは極力見ない主義なのですが、Surface Pro 6を使っているのは、それらがすべて最適化された形で整うからです。「これさえあれば何もいらない」と言えるのがSurface Pro 6なんですね。

水田さん(Microsoft):Surface Pro 6はCPUを選べます。一番下がCore M、その次がCore i5、その上がCore i7。通常のパソコンの開発思想で言うと、それぞれCPUを単純に載せ替えるだけでその他の仕様は共通ということが多いんですけど、Surface Pro 6は搭載しているCPUでまったく違う製品なんです。

ギズ:え? それは初めて知りました。

水田さん(Microsoft):Core Mはインテルの低消費電力タイプ、いわゆるY CPUと呼ばれるタイプです。一方、Core i5とCore i7はU CPUと呼ばれるタイプ。

Y CPUとU CPUは互換性がないため、Core MモデルのSurface Pro 6はプリント基板から違います。Core i5モデルはファンレスなのに対し、Core i7モデルはファン有りです。まったく別ものなのです。製造効率的にはよろしくないですけれど、それぞれのSurface Pro 6で最適化された利用感を体験していただきたいという想いがあります。

ギズ:各社さんから見て、Surface Pro 6やSurfaceシリーズはいかがですか?

元嶋さん(Lenovo):Surface Pro 4からだったと思いますが、Surface Proタイプカバーのキーボードがすごくよくなりましたよね。「脱着型のキーボードはちょっと…」ってずっと言われてきていたのに、そのイメージを覆してくれたのがすごいですよね。

タイプカバーつながりでいくと、本体のカラーも含めて、カラーバリエーションが豊富ですよね。

水田さん(Microsoft):おっしゃるとおりピッチや打感も相当改善しています。ベーシックなものに加え、Alcantaraという高級感のある素材のタイプカバーもご用意しています。ちなみに、タイプカバーはちゃんと本体と連動していて、閉じるとスリープ状態になりますし、クルッと回してタブレット状態にすると、キーを押しても反応しなくなります。

合田さん(Dell):私はDellに入社する前に、Surface Pro 3を仕事に使っていました。最初はタブレット兼用というところで、画面の小ささが気になっていたんですが、十分仕事ができ、バリバリ使っていました。カラバリもワインレッド系やグリーン系など、日本人からは発想できないような色を出されていて、ファッショナブルなセンスを持ちつつも、コスパ高くまとめていて、本当にいい製品だなと個人的には思っています。

Dellのプレミアムノートブック「XPS 13 2-in-1」:狭額縁が実現した絶妙サイズでこの所有感

ギズ:次はDellさん、お願いします。

合田さん(Dell):私が本日お持ちしたのは、新製品の「XPS 13 2-in-1」です。XPSシリーズは「Designed to be the best」をテーマに開発が進められており、プレミアムノートブックという位置付けで、所有感をすごく大事にしています。

合田さん(Dell):XPS 13 2-in-1は全面に削り出しアルミ素材を使用し、非常に堅牢性が高いところがまず1つめのこだわりポイントです。パームレストは素材を使い分けています。ブラックとホワイトの2色展開ですが、ブラックにはカーボン素材、ホワイトにはグラスファイバー素材と、素材を使い分けています。汚れ防止、黄ばみ防止のためにコーディングも施してあります。

合田さん(Dell):2つ目のこだわりポイントは底面ですね。排気や吸気の穴を底面に配置するのがノートPCでは基本なのですが、2-in-1 PCは底面を見せる機会も多いので排気口をヒンジ部分に隠すような形にしています。それでいて空気の流れに関してはまったく問題ないデザインになっています。

合田さん(Dell):また、16:10の液晶ディスプレイを採用しているのもXPS 13 2-in1の個性につながっていると思っています。ノートPCではWeb検索や文書編集など縦にスクロールすることが多いため、縦方向に7%ほどディスプレイの比率を伸ばしています。加えて、狭額縁の採用によりボディに対する液晶の比率が85%ほどもあります。「ザ・液晶」なデザインはXPS 13 2-in-1の大きな特徴でしょう。

ギズ:個人的にDellさんは早くから狭額縁を採用しているというイメージがあります。

合田さん(Dell):Dellはもっとも早く狭額縁を採用したメーカーのひとつだと思います。狭額縁化が早かった関係で気を配るようになったのがカメラの位置ですね。以前は下に配置するしかなかったんですが、下にカメラがあるとアオリ撮影になってしまって、ビデオ通話にはよろしくありませんでした。XPS 13 2-in-1ではディスプレイ上部に2.25mmサイズのカメラが配置できるようになりました。

ギズ:それにこれ、13インチなんですよね? かなり小さく見えます。

合田さん(Dell):はい、13インチなんですが、ほぼ11インチの筐体に13インチのディスプレイを入れているような形ですね。お客様からは「新幹線のバックシートのデスクに飲み物と一緒に置いてもちゃんと収まる」というお話を伺っていて、そうした絶妙なサイズになっている点も特徴ですね。

元嶋さん(Lenovo):キーボードが今回からフルピッチになっていますよね。

合田さん(Dell):そうです。磁気を使ったマグレブキーボードで、おかげで24%ほど薄型化ができました。

元嶋さん(Lenovo):この画面の大きさが一番のポイントだと思うんですけど、生産性にも妥協していませんよね。キーボードもそうですし、カメラもそうです。ThinkPadも狭額縁化しても上部にカメラを配置するようにしてるんですけど、Dellさんも同じ観点で製品を開発していて仲間ができたなという感じがしています。

実は、発表時に欲しいなと思ったんですけど、家庭内の財務省の関係で見送りになってしまいました(笑)。

Lenovo、Microsoft、Dell、VAIOに聞く「ライバル製品、どう思います?」:ガジェットメーカーさんいらっしゃい!

ギズ:めちゃくちゃファンですね(笑)。

水田さん(Microsoft):やっぱり、狭額縁っぷりがすごいですよね。ほぼ画面。画面比率が16:10というのは最近では珍しいですよね。

合田さん(Dell):そうですね。16:9が主流になってきていますが、狭額縁がスタンダードになってきたので、16:9にするとキーボードの部分が少し詰まった感じになって、ユーザービリティの観点から少し難しいというところがあったんです。それで16:10を採用しました。

黒崎さん(VAIO):XPS 13 2-in-1、すごいテクノロジーが詰まっているなと。筐体の縁ギリギリまでキーボードを配置すると、電源ボタンと側面に配置された端子が重なってしまうので、薄型化が難しいんです。XPS 13 2-in-1の一番右上のボタンはキーじゃなくて電源ボタンですよね。

合田さん(Dell):はい、そうです。

黒崎さん(VAIO):奥行きの少ない電源ボタンすると下に端子が入れられるんですよね。VAIOもフルピッチキーボードを採用しつつ側面に拡張端子をたくさん搭載するために、同じ課題を克服したのですごくよくわかります(笑)。

ノートPC界のホットな話題は「ゲーミングPC」と「LTE接続」

ギズ:これまでうかがっていて仕事の効率化といった話が多いように感じます。今そこが熱いという感じなのかもしれません。ノートPC界全体で見て、現在ほかにどんなジャンルが盛り上がっている感じがしていますか?

水田さん(Microsoft):パフォーマンスが格段にいいので、ゲームはしないけれどゲーミングマシンを買うという人がいますよね。Dellさんのゲーミングマシンはいい例ですよね。

合田さん(Dell):日本はコンソールのゲーム市場が強くてPCゲームはなかなか浸透しなかったんですが、eスポーツが盛り上がってきてからはブームも来ています。

その一方で、ゲーミングPCを動画編集機として使っている方もいるのは事実でして。「動画編集機としても便利に使えます」という売り方をしている量販店さんも多いと思います。

元嶋さん(Lenovo):最近盛り上がっているなと感じるのは、SIMスロットがあるノートPCですかね。LenovoでもSnapdragonを搭載した「Lenovo Yoga C630」をこの前発売させていただきました。ThinkPadだけ見ても、おそらく2割以上はLTEモデルになっています。

ギズ:LTEモデルのノートPCを買った同僚が、テザリングとか面倒くさい、もうずっとつながっててくれと思ったらしいんです。だから次に購入するのもLTEは絶対条件らしいです。

黒崎さん(VAIO):一度使った方は、みんな言いますよね。VAIOも全モデルにLTE搭載を目指しているところです。すでに3割ほどはLTE搭載モデルとなっています。

元嶋さん(Lenovo):VAIOさんはSIMも一緒に販売していて。あれはすごいです。

黒崎さん(VAIO):ノートPC用のオリジナルSIMを作っていますね。ノートPCって回線の使い方が毎月一緒ではないんですよね。出張などで多く使う月もあればそうじゃない月もあって、スマホとはちょっと違う。それに適した料金体系ということで、1年分をプリペイドでお支払いいただいて、どの月に偏ってもいいよという感じです。

コンパクトなのに全部入り。モバイルノートPCの新スタンダード「VAIO SX12」

ギズ:ちょうどいい感じで話がVAIOさんに移りましたね。最後にVAIOさん、お願いします。

黒崎さん(VAIO):今日お持ちしたのは、先月発表した「VAIO SX12」というモデルです。一番のポイントは、このコンパクトさなのに全部入りで、メイン機として使える、みっちり感というかギュッと詰まった感というところだと思います。比較用に先代のモデルも持ってきてみました。

ギズ:違いがわかりやすいですね。

黒崎さん(VAIO):VAIOは13インチクラスのノートPCをずっとやってきたんですが、時代がもっとモバイル志向になってきました。さらにギュッとしたものが作りたいということで、12.5インチワイドというサイズになりました。かつて作っていたVAIO 505の末裔といった位置付けです。

ただ、13インチより下のサイズになるとハードルが高くなる部分があります。ひとつがキーボード。もうひとつが画面の小ささです。VAIO SX12ではこれらを改善したいということで、19mmフルピッチキーボードと12.5インチディスプレイを採用しました。拡張端子をたくさん搭載しているのはVAIOの伝統ですね。

元嶋さん(Lenovo):この発想はないですよね。

黒崎さん(VAIO):この拡張端子の多さは日本メーカーならではでしょう。ワールドワイドでは、拡張端子なんてそんなに要らないと言われるんですけど、日本のビジネスシーンで使っている方は必要だって言ってくれるんです。LANポートなどもそうですね。

水田さん(Microsoft):バランスが難しいところですよね。LANポートを入れるとどうしても厚みが出てしまう。

黒崎さん(VAIO):そうなんですよ。しかも、今回LANポートをキーボードと重ねるという話になったので、えらいことになりました。その角から見ると、どうやって収まってるんだろうという不思議な感じがしてくると思います。

黒崎さん(VAIO):パフォーマンス的にも、クアッドコアのUプロセッサーを採用し、「VAIO TruePerformance」というチューニング技術も搭載しているので、ちょっと大きめのノートPCと遜色ありません。サイズ感としてはこれまでのサブノートとほぼ同じで、A4サイズよりもっと小さく、重量は900gを切っています。

ギズ:筐体の素材は何を使っているんですか?

黒崎さん(VAIO):メイン素材はカーボンですね。そのほかアルミとガラス繊維入りの樹脂も使用しています。

水田さん(Microsoft):見た目よりも軽いですよね。

ギズ:僕もそう思いました。

黒崎さん(VAIO):パソコンは「体感的な重さ」と「本当の重さ」がかなり違うんです。見た目で想像する重さと、実際に持ったときの重さ。この誤差で“軽さ”を感じるんです。

合田さん(Dell):結構金属感がある見た目なんですけど、持ってみると意外と軽いってなりますね。あとはこの凝縮感。端子もフルに搭載していて。欠点がぱっとは思い浮かばないくらいの感じに仕上がっていると思います。

水田さん(Microsoft):最初に持ったときの“軽さ”はすごいですね。人間は目で見たときの体積に水を入れたときの重さをイメージするらしいんですが、それよりも軽いんでしょうね。

あとは、やっぱりコネクタを惜しみなく搭載しているところ。これはある意味、弊社とは逆のフィロソフィーかなと。Microsoftはデザインとバランスを重視して削って削ってというところなんですけど。

黒崎さん(VAIO):グローバルで商売をするときは、そちらのほうが正解だと思います。

ギズ:やはり市場の問題なんでしょうか?

水田さん(Microsoft):はい、市場の問題です。 ただWindowsエコシステムではフィロソフィーが違う製品があることで、ユーザーの方がいろいろな選択ができるということにつながるので、こういったアプローチは大歓迎ですね。

ギズ:端子類に関して、どういった議論がありましたか?

黒崎さん(VAIO):VAIOは法人向けにも販売していて、ビジネスで使われている方に触れる機会が多いんです。現場の環境をお伺いすると、VGAのコネクタや有線LANはいまだに使われているんです。現実問題として一気に切り捨てるのは難しいのかなと思います。

それに、自社では設備を揃えていても、先方の会社でプレゼンをするときに、変換アダプタがなかったり、忘れてしまったり、なくしてしまったりすることもあるじゃないですか。そういう状況にもちゃんと応えたい、という議論もありました。

黒崎さん(VAIO):もちろん、思い切って全部やめてその分小型化、軽量化しようという声もありますが、VAIOの一番のポリシーは使っていて感じる気持ちよさです。変換アダプタがない、コネクタが合わない、「そういった不快感がない」もそこにつながっているのではないかと思います。

黒崎さん(VAIO):あとは工夫ですね。ディスプレイを開くとキーボードがチルトアップするようになっています。実はこれには意味があって。VGAコネクタギリギリの厚さで設計していますが、実はVGAコネクタのオス側はもうちょっと大きいので、直置きの状態では接続できないんです。だから、チルトアップすることで本体を浮かせて、薄さを最小限にしてもVGAコネクタが刺さるようにするというような工夫をしています。

日本のノートPCマーケットはガラパゴス?

ギズ:VAIOさんには日本メーカーとしてという意識がある一方で、グローバルなメーカーさんも集まっています。日本対世界で見たとき、一番違うところはどこだと思いますか?

水田さん(Microsoft):VAIOさんの端子の数がいちばん象徴的だと思います。日本だけテクノロジーの移行が異常に遅いんです。特に企業向けでレガシーな端子がどうしても残ってしまうんですが、逆にそれが外資メーカーの参入障壁になっていたりする気はします。

合田さん(Dell):結構ガラパゴス化しているところもあって。15インチサイズのノートPCとかDVDやBlu-rayといった光学ドライブが搭載されていたりしますよね。あとはテレビチューナーが付いていたりとか。ほかの国ではないです。日本はもう全然違います。

元嶋さん(Lenovo):薄さより軽さというところも日本特有ですかね。

合田さん(Dell):1kg切った製品を出しているのはもう日本の市場くらいしかなくて。なんでそんなに1kgにこだわるんだみたいな(笑)。

ギズ:海外の方のほうが身体が大きかったりしますし、1kgの感じ方が違うのかもしれませんね。先ほど水田さんがお話してくださったようなライフスタイルの違いも関係してそうです。

黒崎さん(VAIO):海外では耐久性というと落下試験とか耐振動性とかですけど、日本では電車で押しつぶされないような耐荷重性能とか売りにしていたりしますよね。まあ、実際電車で押しつぶされそうになりますけど(笑)。

4社それぞれの愛され方・愛される作り方

ギズ:ノートPCって、壊れたりしたらもう1回同じメーカーのものを買おうというような、コアユーザーがいると思うんです。みなさんは、コアユーザーの方たちは、何を気に入って自社のものを選んでいると思いますか?

元嶋さん(Lenovo):ヘビーユーザーの方とお話すると、キーボードおよびトラックポイントで選んでいただいているようです。多分それがあるから、世代が変わっても使っていただけれているんだと。これもこだわっている部分なんですが、例えば5年前のモデルを使っていて、買い換えるとなったときに、その日から違和感なく使えるように設計しているんです。変える部分と変えない部分というのがあると思うのですが、キーボードとトラックポイントは変えない部分としてやっていて、そこが評価されているのかなと思います。

水田さん(Microsoft):ユーザーエクスペリエンスの部分かなと思います。というのは、基本フィロソフィーは全製品同じものを踏襲しているんです。3:2の画面比率ですとか、すべてにタッチパネルが付いてますとか。なかなかコストがかかるんですけどね。それに付随して、ペンが使えますとか、全製品に通じてるフィロソフィーというのがあって、そこを好きになって使っていただいているのかなと思います。

合田さん(Dell):うちは、逆に豊富なラインアップだと思っていて。あまり似通ったものは作ってないんです。

また、お客様の要望次第でカスタマイズができる「Dell.com」というBTOモデルもあります。ドメスティックブランドさんと比較すると、プリインストールされているアプリがすごくシンプルで、ほとんど何も入っていないので、最初から自分でカスタマイズがしやすいというイメージも強いと思います。

ギズ:VAIOさんは指名買いが多いメーカーさんなのかなと思っているんですが、いかがでしょうか?

黒崎さん(VAIO):実際、指名買いは多いです。オンラインショップなどはリピーターが5割を超えるくらいです。調査をすると、かっこよさ、性能、パフォーマンスというところを求めているお客様が多いですね。

意外なところでは、信頼性というところを挙げているお客様も結構いらっしゃいます。信頼性ってかっこよさと正反対なイメージなところもあるのか「VAIOって信頼性はいまいちなんじゃないか」というお客様もいたりするんですが、指名してくれているお客様は信頼してくれているんですよね。

リピートが多いブランドという点は、ThinkPadもそうではないかと。

ギズ:みなさん、ありがとうございました。また機会がありましたら、ぜひよろしくお願いします。

ノートPCは各メーカーの想いがぎっしり詰まっている製品

ノートPCって、基本的に性能がよくてかっこよければいいでしょって思ってたんですよ、正直。最近はそこに軽さ、薄さもあればいいなって。

でも、各メーカーさんの話を聞いていると、それぞれのこだわりがすごいということがわかりました。逆に「それぞれのこだわりや特徴がわかっただけに、どれ買っていいか悩むなー」なんて思ったりもしました。

この企画をやるたびに思うのですが、同じジャンルの製品を作ったり売ったりしている方たちって、ライバルではあるんですが、どこか「同志」という感じがあります。それぞれポリシーはあるものの、やはり大きなベクトルは同じところ、つまり「ジャンル全体を盛り上げたい!」というところに向いていていることがひしひしと伝わってくるんですよね。

さて、次回はどんなジャンルのメーカーさんにお声がけしようかしら。きっとみなさんも「この業界の人たちの声が聴きたい!」というのがあると思いますので、ぜひぜひご意見ご要望をお聞かせください。僕らが全力でアタックしますよ!!

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