デルは6月29日にゲーム用モニターやマウス、キーボードとともに、ゲーミングノート「ALIENWARE 15」の新モデルを発表した。NVIDIAが6月にCOMPUTEX 2017で発表した「Max-Qデザイン」を採用することによって、同型としてはじめて、最上位GPUであるGTX1080を搭載している。
従来は1070までしか搭載できなかったボディで、1080のパフォーマンスがどこまで実現されているのか!? 実機で探ってみた。
底面積は広いが、厚みは25ミリで圧迫感のないデザインである。
Max-QのおかげでGTX1080搭載発熱はだいじょうぶなのか!?
ALIENWARE 15の最新モデルは、元々、Corei5またはi7の4コアCPUに、GeForceのGTX1060または1070を内蔵していた。15インチというボディサイズでは、1070の発熱と消費電力を制御するのがギリギリだったということだ。
NVIDIAが公開したMax-Qデザインは、コントロール方法をこれまでとは変えて、電力効率を良くし、よりスリムで小型のボディーやバッテリーでも上級のGPUを搭載できるようにする技術である。
天版はシルバーで、エイリアンマークはもちろん好きな色で光らせることができる。後部のふくらみ部分に排気口とインターフェースが並ぶ。
GPUそのものは従来と変わらないので、その使い方、回しかたを変えるということだ。100%回してしまうと、消費電力が上がり、発熱も最高になってしますうが、それをうまくコントロールすることで、かなりのパフォーマンスを出せるということである。でないと無理して上位GPUを積む意味がない。
ALIENWARE 15の場合は、ボディデザイン、内部構造ともに従来モデルと同じだ。サイズは横幅389×奥行305×厚み25.4ミリと、15型のモバイルノートと比べるとかなり底面積が広いが、厚みは抑えられている。重さも約3.5キロと、「モバイル」するには勇気がいる重さだが、バッテリーは99Whと、15型とは思えないほどの量を積んでいる。
発表会の説明では、今回のMax-Qデザインを採用することによって、TGP(Total Graphic Power)は115Wから110Wへ下がり、なおかつGTX1080のフルパワーの98%近いスピードが出せているという。
底面の半分近くは冷却のための空気吸入口となっている。
ボディデザインは変わらず発熱はだいじょうぶなのか!?
全体のデザインはまさにゲーミングノートの典型に見えるが、直線をうまく使って、スマートさも醸しだしている。液晶上部にはWindowsHello対応の顔認識や、Tobiの視線コントロールに対応したカメラとIRセンサーを搭載。顔でのログインはもちろん、視線によるゲームプレイも可能だ。
tobiiのアイトラッキング機能はゲームで使うだけでなく、ユーザーの離席認識にも使え、省エネに有効だ。
液晶は15.6型のフルHD(1920×1080ドット)のノングレアで、周波数は60Hzと120Hzがあり、明るさは前者が300nit、後者は400nit。もちろんNVIDIAのG-SYNCも有効である。
キーボードはフルサイズで、ストロークが2.2ミリもあり、もちろんnキーロールオーバーで、フツーのモバイルノートのキーボードとは一線を画す打ち心地だ。タッチパッドは滑り心地がよく、ボタンも別体になっているので、ミスクリックも起きない。オレの大好きなSynapticsのドライバーを採用していて、タップやスクロールを自由にカスタマイズできる。
底面積が広いので、キーボードの配列も余裕である。タッチとストロークもキモチがいい。
キーの左側にある「マクロキー」の設定も、AWコマンドセンターというアプリでやりやすい。
インターフェースも全部付きで、Type-A×2にType-C×2、有線LAN、HDMIにミニDisplayPort、そして拡張専用ポートが並ぶ。ここには、別売のGraphics Amplifierを接続して、デスクトップPC用のフルレングスのグラフィックカードを利用することができる。
本体右側にType-AとType-C、左にはType-Aのみ設置されている。
本体正面のスリットは吸入ではなくスピーカー。背面には有線LANやディスプレーポート、専用インターフェースが並ぶ。
こちらが別売のGraphics Amplifier(約3万2000円)。フルサイズのグラボをALIENWARE15に接続することができる。
照明はキーボードのバックライトはもちろん、電源ボタンやタッチスクリーン、本体の側面のエッジに仕込まれていて、専用ソフトで好きな色や変化を指定できる。ゲーミングノートならではのお楽しみだ。
AWコマンドセンターで発光部の色指定ができる。バッテリー駆動時とAC駆動時で変更するなど芸が細かい。
さっそくベンチマークテスト発熱はだいじょうぶなのか!?
今回試用したのは、もちろんMax-QデザインのGTX1080+VRAM8GB搭載で、CPUはCorei7-7820HKにメインメモリ16GB、SSD256GB+HDD1TBを内蔵している。直販サイトで一番お高いモデルだ。
まずは毎度おなじみCPU速度を計るCinebenchR15では、CPUマルチの値は768と、他社の同CPU搭載ノートと同じ値が出た。
3DMarkのFireStrikeは14335をマーク。Max-QではないGTX1080搭載の17型大型ノート(もちろんCPUは同じ)で計測した値15181の94%が出ていることにある。
ちなみに、GTX1060搭載ノートでは約9000、GTX1050では5500という値なので、それらのマシンの1.6倍/2.6倍のパフォーマンスである。ゲーム系のベンチマークテストでは、標準1080搭載ノートより速い結果が出たものもあった。Max-Qおそるべしなのである。
発熱はどうかというと、3D系のベンチマークが始まると、とたんに冷却ファンがブンブンと回る。おかげで(?)本体の底面も上面も少しあたたかくなるくらいで、「アツい」と感じる40度まではいかなかった。
そのかわりといってはなんだが、排気は非常に勢いがあり、なおかつ背面排出型である.お向かいに人がいるとご迷惑になりそうで、公共の場所で使うときは気をつけよう。
AWコマンドセンターにはオーバークロックの設定もある。温度やファンの回転数をみながらイジることができる。
搭載していたSSDは東芝のGX4シリーズ「THNSN5256GPUK」で、CrystalDiskmarkではマルチシーケンシャルリード1779、ライト803とPCIe+NVMeの標準的速度であった。
いつものBBenchによるバッテリー駆動時間は、液晶100%、省エネ設定OFFで満充電から2時間45分駆動した。バッテリーは99Whという未体験な大容量を搭載しているが、400nitの高輝度液晶がエネルギーを消費しているようだ。とはいえ、2時間以上バッテリーで利用できるのはありがたい。
なお、同梱のACアダプターは、出力がなんと240W(19.5V12.3A)という大物で、ケーブル込みで1キロ近くあった。本体と合計で4.5キロとなるが、充電は、消費と同条件で、50%まで50分、70%まで1時間10分、90%まで1時間30分という高速ぶりを発揮した。
ACケーブルも入れると1キロ近い重量があるアダプター。充電時間が短いのはアタリマエ?
おそるべしMax-Qの威力第8世代コアとの組み合わせでプレミアムノートの未来が見えた
というわけで、Max-Qはすんなり速度が出てしまい、「ギリギリまでチューンして速度を出してやる」というオレの意気込みが拍子抜けになったのだが、さすがNVIDIAがあれだけ自信を持って発表した技術である。これからの展開もたのしみなのだ。
これで1080がフツーに使えるのなら、COMPUTEXで公開したASUSのあの薄型ゲーミングノートはもちろん作れるだろうし、さらに、オレのテーマであるプレミアムノートPCにおいても、1060を搭載しながら、より薄く軽いものが設定できるにちがいない。第8世代の低消費電力型4コアCPUと組み合わせて、次世代のプレミアムノートに期待したいのである。
ALIENWARE15に戻ると、お値段としては、従来のGTX1070+VRAM8GBをGTX1080+VRAM8GBにカスタマイズした場合の差額は5万9100円となっている。15型で最高速度のゲーミングノートが欲しいキミは買うしかないのである!!