ゲームはデバイスが物を言う!
特にキーボードはゲーマーにとっては戦績を左右する刀のようなもの。妥協はできませんよね。でも選ぼうと思うと種類が多くて多くて、理想の1台を探すのにはダイヤモンド掘り当てるような苦労があります。
そこで今回は「スキルレベルやスタイルに関係なく、ほぼ誰でも満足できるベストなメカニカルゲーミングキーボード」をバトルモードといきましょう。
筆者はプロ的なeゲーマーと並みのRTS(リアルタイムストラテジー)ゲーマー(Starcraft)の中間で、RPGシリーズ『ジ・エルダー・スクロールズ(TES)』のファン。仕事柄ずっと入力はするのでキーボード選びでもつい主観が入ってしまうけど、やっぱりメカニカルゲーミングキーボードは仕事もゲームも両方使えたほうが買う価値ありだと思いません?
そんな私がキーボードに求める条件。それは何千ワード打ち込んでも手首が痛くならなくて、反応はキビキビすばやくて、消える前にドラゴン掴まえられる即戦力です。
マクロ(ゲーム用や仕事用にプログラムできる機能)もあったほうがいいけど、付属のソフトウェアがだめだと設定でもたついちゃうので、その辺も見ていかないとだめかなーと思います。あと、RGBのバックライト、パームレストは必須じゃないけど、あるほうがやっぱりポイント高いですよね!
そんなわけで機能と評価をもとに、ここでは次の6つを選んで比べてみました。 価格は翻訳段階のものです。
・Logicool G413 Carbon(Logicool Romer-G)1万4080円
・HyperX Alloy Origins(HyperX Aqua)1万3980円
・Razer Huntsman Elite(Razer Purple)2万4800円(1万9840円)
・Steelseries Apex Pro(Steelseries Omnipoint)2万7300円
・Corsair K95 Platinum XT(Cherry MX Speed)2万4450円
・Corsair K100(Corsair OPX)3万8082円
気になるキースイッチの種類は、おのおのかっこ内に注記していきます。どのスイッチが好みかわからない人は店頭で押してみるか、Amazonで安いテスターを買って打鍵感をチェックしてもいいでしょう。
Logicool G413 CarbonとHyperX Alloy Originsは1万円台の廉価モデル。Razer Huntsman Elite、Steelseries Apex Pro、Corsair K95 Platinum XTは2万円以上。Corsair K95はCorsair K100発売でぐんと値下がりしました。K100は日本だと3万円台です。
K100以外はみなメカニカルキーボード購入ガイドのとき使ってゲームしているときの感触とポイントは大体わかってます。ここでは「ふつうの文章入力モード」で1分入力テストと入力遅延テストもやって、一番軽いタッチで反応するまでの速度をミリ秒で測定してみました。さらにメーカーの付属ソフトウェアを開いて、マクロの設定の流れや(G413 Carbon以外は)RGBバックライト調整の流れも点検してみましたよ。ではさっそく結果を発表します!
デザインがBESTなメカニカルゲーミングキーボード
メカニカルゲーミングキーボードってそれぞれ特長はあるけど、雰囲気が似てますよね(自作する人が多いのはそのため!)。ここで紹介するのも、みんな黒で、サイズは大きめです。Corsairなどはハードウェア重視で、触るとメカニカルキーボードは本当にハードなんだなーと実感できます。RazerとSteelseriesは角が丸め。廉価モデルのHyperX Alloy OriginsとLogicool G413もデザインは遜色ありません(最安モデルはパームレストなしだけど)。
一番大きめサイズなのはCorsairのK95 Platinum XTとK100です。左に6つのマクロ専用キーがついているぶん幅が46.48cmあって、デスクをかなり占領します。パームレストがソフトだから許せちゃいますけどね。2機種ともキーボード上でメディア操作が可能です。キーボードとスイッチ設定ロック用ボタン付き。K100は左上にプログラム可能なダイヤルがあって、 中央のステータス表示が改善。マウスやヘッドセットをつなげるUSBパススルーポートも搭載になっています。
Corsairより幅2.5cm短いのがRazer Huntsman Eliteです。こちらもパームレストはCorsairsに負けないソフト感。これがあるので奥行は23.4cmありますが、快適この上ないエルゴノミクス仕様なので手首くたびれ気味の人は助かりますね。Razerはゲーマーの心を鷲掴みするのが上手なんだけれど、メディアコントロール用のバックライトがなくて、キーボードの起動にUSBポートが2つ要るのにUSBパススルーがないのがやや残念。あと底部にヘッドフォンやマウスのケーブルを収容できる溝もありません。
一番ちっちゃくてコンパクトなのはSteelseries Apex Proです。パームレストはクッションなしだけど、ソフトタッチ仕上げでめちゃ快適に使えます。右上には有機ELスマートディスプレイがあって、これは、表示させる画像やオンラインハンドルを自由にプログラムできます。USBパススルー用ポートは光るので暗い場所でもすぐ見つかるし、底部にはコード収容溝もあります。再生/停止、音量調整などがもっとわかりやすいといいのだけど、これは付属のアプリを使えばスクロールバーにプログラムできます。
HyperX Alloy Originsは、薄くてコンパクトなキーボードを探している人や、1万円安い価格帯が希望の人にぴったりです。Apex Proより数cm長さはありますが、高さは3つのモードに調整できます。パームレスト、USBパススルーはないけど、USBポートはひとつで間に合うし、底部にはケーブル収容溝もアリ。
Logicool G413 Carbonはサイズ的にはAlloy Originsとthe Hunstman Eliteの中間です。RGBをフルカラーで表示できない唯一の試用機種ですが、赤のバックライトはキラキラきれい。USBパススルーもあるので大事な周辺機器もつなげますよ。
機能がBESTなメカニカルゲーミングキーボード
全機能完備じゃないと買う価値ないというわけではないけれど、主要機能はきっちりおさえてほしいところ。Corsair、Razer、SteelseriesはいずれもフルスペクトルのRGBライト採用で、アプリからキーごとに色分けできるほか、光のエフェクトをかけたりもできます。
HyperX Alloy OriginsはRGBの発光が一番鮮やか。これさえあれば満足という人はかなり安く手に入ります。まあ、ライトアップして比べると、Razer Huntsman Eliteが出色ですけどね。バックライトがパームレストまで照らし上げるので深夜に使うときれいで、パームレストの隅々まで光を調整できます。
メカニカルゲーミングキーボード一番の強みは、マクロとボタンを再マップして、よく使う操作をショートカット登録できることでしょう。その点、ここで紹介する6機種はすべてマクロ登録が可能です。
Steelseriesは専用ボタンを押さないと実行できないけど、よく使うフレーズ、文章、コマンドを略語で登録可能。 Razer、HyperX、Logicoolはキーを選んでマクロをカスタマイズできます。自分的には、マクロ専用キーがあるCorsairが好みで、ゲーム中も迷わないので、考えている間に殺されてゲームオーバーということもありません。
今はなんでもアプリ搭載ですけど、まさかメカニカルキーボードにまでアプリが入るとは…。Corsair、Razer、Steelseriesはゲームごとに別々のプロフィールをダウンロードして既存のマクロとキーボードショートカットを導入できるので、「こんなこともできるんだ!」という、自分では気づけないものまでカバーできます。アプリ非搭載の LogicoolやHyperXのキーボードに戻るときにもこうした付加機能とプラグインは忘れずに入れました。
機能をトータルで評価するとやっぱりトップランナーはRazerでしょう。割り付け可能なキー以外にも、RazerはAlexaやPhilips Hueへの対応にも力を入れてますし、Huntsman Eliteはダイナミックライトが魅力。
性能がBESTなメカニカルゲーミングキーボード
メカニカルゲーミングキーボードに求められる性能は、打鍵の反応スピードと、長時間入力しても疲れない快適性です。一番正確にすばやく入力できたのはHyperX Alloy OriginのAquaタクタイルスイッチで、これは スピードより精度を重視する人向けにつくられたもの。逆に一番遅くてタイポが多かったのはLogicool G413 CarbonのRomer-GというLogicool独自開発のスイッチですが、これはスイッチそのものが原因というよりキー同士の間隔が原因。打鍵感はCherry MX Brownの茶軸に近いものでした。
同じCorsairでも2機種で結果には差がついたので、スイッチ選びがいかに大事かがわかります。Corsair K100では1分110ワード打って精度90%。K95 Platinum XTのCherry MX Speedスイッチだと精度はさらに落ちました。ただK95はキープレス遅延テストでは反応がめちゃ速くて、遅延タイムは8ミリ秒。 一番遅いのはK100の光学メカニカルOPXスイッチで、28ミリ秒もかかりました。
Steelseries Apex ProのOmnipointスイッチはアクチュエーションポイントを調整可能です。つまり押してから反応するまでのスピードを自由に設定できるんですね。試用中は10段階中3(一番敏感に反応するのが1、一番ハードに押さなきゃならないのは10)に設定しました。
遅延最短なのはApex Proの3ミリ秒ですが、精度は今ひとつで、1分103ワード打っても精度は平均94%どまり。
Razer Huntsman Eliteの光学メカニカルの紫軸(Purpleスイッチ)のほうがやや好成績で、精度&遅延テストでは1分102ワード打って精度96%、遅延13秒で第2位という結果でした。打鍵音が一番鳴り響くクリッキーなキーボードでもあるので、あれが好きな人にはたまりません。
Corsair、Razer、SteelseriesはいずれもWindows対応ソフトウェアスイートがすごく充実しています。マクロはプログラムできるし、アプリはダウンロード可能で、アプリを直接統合できるソフトも一部あります。ただ動作は遅いと不評で、メニューが入り乱れていて目的のアプリになかなか辿り着けないのが難点です。保存したマクロをキーセットに割り当てる手順も、Google検索してYouTube動画を何本か見てやっとのみこめました。ライティングの設定は3社のソフト、どれも簡単なんですけど、Corsairのアプリでレイヤーを設定するのはかなり苦労しました。
HyperX NGENUITYアプリはスペルもヘンだしまだベータ段階ですが、UIはシンプルで、キーボードの設定が初めての人でも難なく使いこなせる感じです。
アプリは無駄に多機能で、たとえばCorsairのiCueアプリなんて1.12GBもあります。パソコンに負担がかかるし、5年落ちのうちのパソコンだと起動も遅くて遅くて。
RazerのSynapseアプリはダウンロード容量こそ26MBと控えめながら、プロファイルと外部データを取り込むと軽く300MBを超えちゃいます。
SteelseriesとHyperXのソフトウェアスイートはどちらも200MB未満で、負荷はそんなにかかりません。それを言うならG413 Carbonで使うLogicoolのGHubソフトのほうがツボですが、こちらもLogicool製品とペアリングするとどうしても300MBくらいはHDDの空きディスク容量が必要になります。オープニングのカルーセルでデバイスを見てカスタマイズ対象を選べるのは好き。Logicoolの周辺機器同士で発光のエフェクトを簡単に同期できるのもいいですよね。G413 Carbonではバックライト用のRGB発色エフェクトはないけど、ネットで調べなくても、ちゃちゃっとマクロをプログラムしたり、キーをリマップしたりできるのが、このソフトウェアの強みと言えるでしょう。
総合BEST
総合ベストはSteelseries Apex Pro。特にアクチュエ―ションを調整可能なゲーミングキーボードを探している人にはぴったりです。リアルタイムのプレイはスピードが命。Apex Proなら緩急使い分けも思いのままにできます。Steelseries Engineは、マクロとアプリのプログラミングに関しては、一番使いやすいソフトウェアとは限りません。でも機能自体はあるので、少し我慢して設定すればダンジョン攻略時には理想のお伴になります。
Apex Proは一番おしゃれでコンパクトなメカニカルゲーミングキーボードでもあります。競合(CorsairとRazer)と違って机を占領することもありません。もちろんコンパクトなぶん、高級感漂うレザーのパームレストやメディア調整ボタンはないけど、USBパススルー、自由にカスタマイズできる有機ELディスプレイ付きなのはうれしいですよね。
やや低めの価格帯で選ぶなら、Corsair K95 Platinum XTのセールが狙い目です。遅延テストの成績は上々で、ゲーミングキーボードの風格があって、1列全部がマクロ専用キーで、メディアコントロール付きなので、多彩なコンテンツをマルチタスキングで心ゆくまで楽しめますよ。以上ご参考に☆彡