2020年6月8日に販売が開始された、HUAWEIの「P40シリーズ」。特にカメラ性能に定評のあるシリーズで、日本市場には、ハイエンドモデルとなる「HUAWEI P40 Pro 5G」(以下P40 Pro)とともに、ミドルレンジクラスの「HUAWEI P40 lite 5G」(以下P40 lite 5G)、格安スマホの「HUAWEI P40 lite E」(以下P40 lite E)が取り扱われている。
同時発表、同日発売となったこの3モデル、価格帯が違うため、なんとなく「Proの性能が一番良いんだろうな……」くらいのイメージはつきやすいが、具体的に何がどう違うかわからない、という人も多いのではないだろうか。そこで、この3種の神器ならぬ「3種の“神機”」を実際に試し、それぞれの特徴や使用感を紹介していこう。
HUAWEI P40シリーズ3モデル、それぞれの特徴や違いを紹介
では、実際に試してみてわかったP40シリーズそれぞれの特徴や違いを紹介していこう。
※左から「P40 Pro」「P40 lite 5G」「P40 lite E」
P40 Proのディスプレイサイズは約6.58インチ、P40 lite 5Gは約6.5インチで、P40 lite Eが約6.39インチ。3モデルとも大型ディスプレイといえるサイズ感だが、特徴的なのは、ディスプレイサイズが大きいP40 Proのほうが、P40 lite 5Gよりも縦、横ともに本体サイズが小さいという点。これは、P40 Proが極端に細いベゼルと、ディスプレイの左右が湾曲したデザインを採用しているためで、数字上はわずかな差であるものの、握ってみた感覚は、一回りほど小さいのではと感じるほど。
もちろん、本体のサイズ感は好みの分かれるポイントだが、成人男性としては手の小さい筆者としては、大画面なのに握りやすいP40 Proの仕上がりはうれしかった。ディスプレイ解像度は、ハイエンドになるほど高くなるが、画質が重要なFPSなどのオンラインゲームをプレイしない限りは、そこまでの違いは感じられなかった。
※上から「P40 Pro」「P40 lite 5G」「P40 lite E」
カラーバリエーションにも違いがある。P40 Proは「シルバーフロスト」「ブラック」の2色、P40 lite 5Gは「スペースシルバー」「クラッシュグリーン」「ミッドナイトブラック」の3色、P40 lite Eは「ミッドナイトブラック」「オーロラブルー」の2色となっている。P40 Proの2色は、どちらも高級感漂うメタリックな単色ボディなのに対し、P40 lite 5GとP40 lite Eは、HUAWEIのスマホの特徴でもあるグラデーションカラーが採用され、オーロラのような幻想的なボディも用意されている。
3モデルで最も大きな違いといえるのは、カメラ性能ではないだろうか。P40 Proにはドイツのカメラなどの光学機器メーカーであるLeicaと共同開発されたクアッドレンズが搭載され、構成は「約5000万画素ウルトラビジョン広角カメラ」「約1200万画素スーパーセンシング望遠カメラ」「約4000万画素超広角シネマカメラ」に、「3D被写界深度カメラ」と、すべてのカメラがバランスよく高い性能を持っている。
P40 lite 5Gもクアッドレンズが搭載されているが、こちらはLeicaとの共同開発ではなく、自社製となっている。しかし、長年Leicaとともにレンズを作ってきた技術力は高く、構成は「約800万画素超広角カメラ」「約6400万画素メインカメラ」「約200万画素被写界深度カメラ」「約200万画素マイクロカメラ」。メインレンズに関しては、P40 Proを上回る解像度となっている。
格安モデルであるP40 lite Eは、「約4800万画素」「約800万画素」「約200万画素」のトリプルレンズ構成で、2万円台の格安モデルと考えればかなりの高性能だろう。
※P40 Proにて撮影
※P40 lite 5Gにて撮影
※P40 lite Eにて撮影
3モデルとも、HUAWEIらしく高い性能を持つカメラAIが搭載されており、シーン別に自動で画質を調整してくれたりと、撮影者の腕に関わらず、どんな状況でもきれいな写真が撮れた。
さらに、ハイエンドモデルのP40 Proには、写真に写りこんでしまった通行人を最大2人まで削除する機能や、ガラスに移りこんでしまった物体を削除してくれる技術なども搭載されており、バランスよく高性能なレンズも含め、最先端の技術が搭載されていることを感じさせてくれる仕上がりだった。
※被写体がどういったものなのかを自動で検出してくれる
スマホの処理能力に関わるチップは、P40 Proが「HUAWEI Kirin990 5G SoC オクタコア」、P40 lite 5Gが「HUAWEI Kirin820 オクタコア」、P40 lite Eが「HUAWEI Kirin 710F オクタコア」で、数字上は約100番ずつ差があるものになっている。お察しの通り、数字が大きいほど高性能で、高い処理性能を持つとされており、最も上のP40 Proは使っていてストレスを感じない滑らかな動き、高いレスポンス力が魅力的だった。
もちろん、数字が低いP40 lite 5GやP40 lite Eが悪いというわけではなく、どちらの端末も普段使いであれ問題なく動作した。スマホを使って何をするのかによって求められる性能は変わるが、Web検索やSNS、電話やメールといった一般的な用途であれば、P40 lite Eでも十分に満足いただけるだろう。
細かいポイントではあるが、同シリーズとしては珍しく、それぞれ指紋認証センサーの位置が違う。P40 Proはディスプレイ内にセンサーが内蔵された「画面内指紋認証」に対応、P40 lite 5Gは本体右側の電源ボタンにセンサーが内蔵された形となっており、P40 lite Eは本体背面の中央付近にセンサーが搭載されている。どのモデルも、センサーの感度はよく、すぐにスマホを起動できた。また、3モデルとも顔認証によるロック解除にも対応している。
※本体下部にスピーカーが内蔵されているのは共通だが、P40 Pro、P40 lite 5GがUSB Type-Cなのに対しP40 lite Eはmicro USB形式。また、P40 lite 5GとP40 lite Eにはイヤホンジャックも搭載されている。
3モデルとも高いコスパを誇る名機
今回、同日発売となったP40シリーズの3モデルを比較してみたが、P40 Proが約12万円、P40 lite 5Gが約4万円、P40 lite Eが約2万5000円で購入可能な点を鑑みると、どのモデルもかなりの高コスパといえるのではないだろうか。特に、4万円台ながら5Gに対応したP40 lite 5Gと、2万円台ながらトリプルレンズを搭載したP40 lite Eは、価格破壊といえるほどの仕上がりに感じる。
これだけの仕上がりとなった3モデルだが、忘れてはいけないのが「GMS(グーグルモバイルサービス)」に対応していない点。LINEやFacebookといったアプリにはすでに対応し、利用が可能だが、ゲームなどのアプリはGoogle Playストアと比べるとやはり見劣りしてしまう。
ただし、Amazonが提供している「Amazonアプリストア」をインストールすれば、AppGalleryに収録されていない日本向けのアプリが使用できる場合もある。変わらずGoogle系のアプリは利用できないものの、アプリの充実度は増すので、そちらも確認していただきたい。
対応アプリ数の課題はあるものの、3モデルどれもスマホとしての完成度に問題はなく、どれも使っていてストレスを感じない操作性を持っているので、「このアプリじゃないとだめ!」という強いこだわりがないのであれば、ぜひおすすめしたい製品だ。
取材・文/佐藤 文彦