iPhone XとXS/XS Maxのカメラは、カタログスペック上は「1200万画素、F1.8(広角)およびF2.4(望遠)のデュアルカメラ」で共通だ。しかし、iPhone XS/XS Maxでは撮像素子が大型化されたほか、新搭載のチップ「A12 Bionic」で画像処理能力が強化されたことで、背景をぼかして被写体を際立たせたり、人の顔をより美しくみせることが可能になった。A12 Bionicは、iPhone X/8/8 Plusに使われていた「A11 Bionic」に比べ、ニューラルエンジンの処理性能が最大9倍にアップしたという。同じチップ内に含まれるCPUやGPUも強化はされているが、ニューラルエンジンの性能向上幅はそれらよりはるかに大きなものとなっている。今回の新製品においてアップルは、スマホの進化の方向は機械学習、すなわちAIにあると宣言した格好となっている。Androidスマホでも、ファーウェイが同様のアプローチをとっている。同社は昨年、AI処理専用ユニット「NPU」を搭載した初のスマホ「Huawei Mate 10」シリーズを発売。続いて今年春に市場投入した「Huawei P20」シリーズでは、AIの力でより美しい写真撮影が可能という点を訴求することで、世界的なヒット機種になった。また、スマホ向けシステムチップ最大手のクアルコムが提供する「Snapdragon」シリーズも、AI専用ユニットこそ搭載しないものの、チップ上のさまざまな処理装置を組み合わせてAI処理を最適化する機能を備えている。最上位チップの「Snapdragon 845」は、前世代のチップに比べてAI処理が3倍に高速化されたという。スマートフォンの高級機では、何らかの形でAIを売りにするのが当たり前になってきた。